山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼428号 「北ア・針ノ木峠大沢小屋の歌碑」

【概略】
日本三大雪渓のひとつ針ノ木雪渓。下方の大沢小屋入口横には創設
者百瀬慎太郎の詩「山を想えば人恋し、人を想えば山恋し」と刻ま
れたレリーフがはめ込まれている。大沢小屋は大正14(1925)年創
建。慎太郎は大町市の旅館経営者で歌人。毎年慎太郎祭りも行われ
る。
・【本文】は下記にあります。

▼428号 「北ア・針ノ木峠大沢小屋の歌碑」

【本文】
北アルプス後立山連峰長野県と富山県境にある針ノ木峠は、標高25
41mと峠では南アルプスの三伏峠に次いで日本第2(「山DAS」
では6番)の高さを誇ります。

また清水峠、雁坂峠とともに日本三峠に数えられ、ここの針ノ木雪
渓は白馬岳の大雪渓などともに日本三大雪渓のひとつでもありま
す。

黒部アルペンルートができる以前はここが信州と富山を結ぶ峠道
で、大昔から利用されたという。

峠の北側(長野県側)針ノ木雪渓の下方には大沢小屋があります。
小屋の入口横岩に創設者百瀬慎太郎の詩「山を想えば人恋し、人を
想えば山恋し」と刻まれたレリーフがはめ込まれています。

大沢小屋は大正14(1925)年創建。慎太郎は大町市の旅館経営者で
歌人。登山者の世話をしてきました。昭和4(1929)年には峠の上
に針ノ木小屋を建て登山道を改修してきました。

そんな彼の遺徳をたたえ毎年6月第2日曜、慎太郎祭りが行われま
す。小屋前の岩の下にザックを置いて早速レリーフをカメラに収め
ます。前に朱色の祠が建っています。

小屋番が出てきました。「何の神さまがまつられているんですか」。
「ああ、シンタローだよ」。なるほど「シンタロー」は、神さまに
なったんだな。

▼【データ】
【所在地】
・長野県大町市。JR大糸線信濃大町駅バス(40分)で扇沢、さら
に歩いて1時間15分で針ノ木雪渓大沢小屋。地形図に大沢小屋の文
字のみ記載。付近に何も記載なし。

【位置】(標高点、三角点)(電子国土ポータル)
・【大沢小屋】緯度経度:北緯36度33分16.06秒、東経137度42
分19.08秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検
索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「黒部湖(高山)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【山行】北アルプス縦走
・某年8月10日(日・晴れ)針ノ木峠探訪


【参考文献】
・「信州山岳百科・1」(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・「信州百峠・改訂普及版」井出孫六・市川健夫監修(郷土出版社)
1995年(平成7)
・「山DAS」石井光三(白山書房)1997年(平成9)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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