山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼358号「中ア木曽御嶽・田の原口九合目石室」

【概略】
我慢邪慢の天狗たちがウジャウジャいるという修験道の山御嶽山。
その天狗たちに逢わんと思い、ある年の初秋訪れた。だが九合目石
室は物置同然。隙間だらけの壁と入り口の戸もなく、寝袋のなかか
らご来光を拝めた。
・長野県王滝村と木曽町との境

▼358号「中ア木曽御嶽・田の原口九合目石室」

【本文】
1979年(昭和54)有史以来突然の爆発を起こし、いまだに噴煙をあ
げている木曽御嶽山(3067m)。開山は702年(大宝2)、役の小角
(おづぬ)によるといわれ、各地にある「国御岳」のひとつとして
蔵王権現がまつられています。

古くから多くの行者が修行した信仰の山でいまも全国に数百万人の
信者がいるという。そんな山ですから、我慢邪慢の天狗たちがウジ
ャウジャいるというのも納得できます。

なかでも御岳権現の化身といわれる六尺坊(ろくしゃくぼう)を首
長に、アルマヤ坊、刀利天坊(とうりてんぼう)、 大頭羅坊(だい
ずらぼう)なる大天狗が取り仕切っているといいます。

これらおそれ多き天狗たちに逢わんと思い、木曽福島駅からバスに
乗り、田野原口経由で出かけてみました。前日は木曽駒ヶ岳(2956m)
にテント泊。

田野原に着いたのはすでに日が傾きはじめたころ。九合目石室は物
置同然。テントを張りもぐり込みます。

何とか一晩を過ごし翌朝。隙間だらけの壁と入り口の戸もない石室
は、寝袋のなかからご来光を拝める状態でした。

▼九合目石室【データ】
【所在地】
・長野県木曽郡王滝村と木曽町との境。JR中央本線木曽福島駅か
らバス、田の原から歩いて3時間40分で九合目石室。地形図上には
九合目の文字のみ記載。付近に何も記載なし。

【位置】
・【九合目石室】緯度経度:北緯35度53分9.59秒、東経137度29分
11.85秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「御嶽山(飯田)」

【山行】木曽駒ヶ岳・御嶽山
・某年9月8日(火・快晴)御嶽山探訪

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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