山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼357号「八ヶ岳・赤岳山頂の若いカップル」

【概略】
赤岳は山肌が酸化して赤褐色をしている。それが赤岳の山名のもと
になっているのだという。5月赤岳山頂なまだまだまだ雪の中。恋
人らしい若いカップル。東京原宿の雰囲気をそのまま持ち込んだよ
うに若者は彼女に優しかった。
・長野県茅野市と富士見町、南牧村と山梨県北杜市との境

▼357号「八ヶ岳・赤岳山頂の若いカップル」

【本文】
八ヶ岳は南の八ヶ岳と北八ヶ岳に別れます。南の八ヶ岳の雄峰・赤
岳(2899m)は山頂が南北に分かれた双耳峰になっています。山肌が
酸化して赤褐色をしています。

それが赤岳の山名のもとにになっているのだとも、また、「赤」と
いう字に神がかった音や色を見いだし、主峰としての貫禄にふさわ
しい名がついたのだという難しい説もあります。

その赤岳の南頂に「赤岳山神社」の奥宮が鎮座しています。奥宮と
いっても、小さな石祠と赤岳山神社文字の「赤」の字の部分が欠落
した石碑だけがわずかに残っている程度。ふだんは登山者は気にも
止めなません。

祭る神は『日本書紀』などに出てくる神話「天地開闢」の最初にあ
らわれた国常立尊神と、天の岩戸伝説の天手力男尊や、仏さまであ
る愛染明王と正力不動明王もいっしょにまつられ、まさに神仏習合。
ここ赤岳を中心にして昔は山伏たちの山岳道場だったことを物語っ
ています。

数年前の5月、まだ雪の中の赤岳山頂。恋人らしい若い男女が寄り
添っています。東京原宿の雰囲気をそのまま持ち込んだように若者
は彼女に優しく扱っています。

そこへ場違いのように鼻水を垂らしながらむさ苦しい姿をあらわし
てしまいました。寒風すさぶこの山頂も二人にとっては別天地なの
でしょうね。

▼【データ】
【山名】・赤岳(あかだけ)。山肌が酸化して赤褐色をしているから
だとも、赤に神がかった発音や色を見いだし、主峰としての貫禄に
ふさわしい感じがあるからだともいわれています。

【所在地】
・長野県茅野市と長野県諏訪郡富士見町、長野県南佐久郡南牧村と
山梨県北杜市大泉町(旧北巨摩郡大泉村)、山梨県北杜市高根町(旧
北巨摩郡高根町)との境。中央本線茅野駅の東20キロ。JR中央本
線茅野駅からバス、美濃戸から歩いて4時間30分で赤岳(山頂に南
峰と北峰がある)。南峰に一等三角点(2899.2m)と赤岳神社の石
祠と神道関係の大祠、北峰に赤岳頂上小屋がある。地形図に山名と
三角点の標高と赤岳頂上小屋の記載あり。

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第61番に選定):日本二百名山、
日本三百名山にも含まれる。
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(第60番に選定)
・山梨県選定「山梨百名山」(第1 番に選定)
・清水栄一選定「信州百名山」(第20番に選定)

【位置】
・【三角点】緯度経度:北緯35度58分15.01秒、東経138度22分
12.19秒秒(電子国土ポータルWebシステムから検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「八ヶ岳西部(甲府)」or「八ヶ岳東部(甲
府)」(2図葉名と重なる)。5万分の1地形図「甲府−八ヶ岳」

【山行】
・某年5月6日(月・快晴)赤岳探訪

【参考】
・「角川日本地名大辞典20・長野県の地名」市川健夫ほか編(角川
書店)1990年(平成2)
・「角川日本地名大辞典19・山梨県」磯貝正義ほか編(角川書店)1
984年(昭和59)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本歴史地名大系20・長野県の地名」(平凡社)1979年(昭和54)
・「日本歴史地名大系19・山梨県」(平凡社)1995年(平成7)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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