山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼355号「北八ツ・蓼科山山小屋の犬」

【概略】
蓼科山にもかつてライチョウがいたという。山頂の平らな岩で流れ
る雲を見ながらひとときの昼寝。台風は東北の沖に去っていったと
のこと。山頂わきにヒュッテが建っている。暇にまかせてのぞき込
もうとしたら犬に一声怒られた。
・長野県立科町と茅野市との境

▼355号「北八ツ・蓼科山山小屋の犬」

【本文】
八ヶ岳の一番北の蓼科山にもかつてライチョウがいたという。江戸
時代後期の「遠山奇談」(浄林坊辨惠著)の「巻之四第二十章」に
「たてしな山雷獣雷鳥の事」という一文があります。

「雷の時晝夜にかぎらず、鳥のこゑすることあり。ある人水無月の
末に、山にのぼりしが、霧ふかくして、人聲たへたるに、鳥六七見
へたり…」。

その人が岩の間に隠れたひなを捕まえてみたところ、大きさ鳩くら
いで、黄脚(きすね)の高さは5寸、鉾色(ほこいろ)はウズラの
ようで、目の上がくぼくぼんでいた。

捕まえて親鳥にうらまれてもよくないと逃した。少し先に行くと先
ほどの鳥が山にこだまするほど群がって鳴いていた。鳴き終ると夕
立がきて雷鳴がなる。

その夕立の間に、またあの鳥が鳴きだす。鳴き終るとまたまた雷鳴。
この鳥は雷の「気」を感じて鳴くらしい。このあたりの人たちはラ
イチョウといっている。人家には見なれない珍しいと鳥だと、あり
ます。

蓼科山頂の平らな岩で流れる雲を見ながらひとときの昼寝。台風は
東北の沖に去っていったとのこと。山頂わきにヒュッテが建ってい
ます。暇にまかせてのぞき込もうとしたら犬に一声怒られました。

▼蓼科山【データ】
【山名】たてしなやま。異名:立科山(たてしなやま)、諏訪富士
(すわふじ)、高井山(たかいやま)、飯盛山(いいもりやま)、位
山(くらいやま)。

【所在地】
・長野県北佐久郡立科町と同県茅野市との境。JR中央線茅野駅か
らバス・親湯入口から歩いて4時間30分で蓼科山。一等三角点(253
0.3m)と蓼科神社の奥宮がある。地形図に山名と三角点の標高、
蓼科山頂ヒュッテの記載あり。三角点より北東方78mに蓼科山頂ヒ
ュッテがある。

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第60 番選定):日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる。
・清水栄一選定「信州百名山」(第21番選定)
・田中澄江選定(1995年)「新・花の百名山」(第66 番選定)

【位置】
・三角点:(標高2530.3m、一等三角点)。【緯度経度】:北緯36度06
分13.42秒、東経138度17分42.23秒(国土地理院「電子国土ポータ
ルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「蓼科山(長野)」。5万分の1地形図「長
野−蓼科山」

【山行】木曽駒ヶ岳・木曽御嶽・蓼科山
・某年年9月10日(木・晴れ)蓼科山探訪

【参考】
・「遠山奇談」(浄林坊辨惠著)筆名華誘居士:「日本庶民生活史料
集成」第16巻(奇談・紀聞)(山一書房)1989年(平成元)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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