山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼330号 「長野県・霊諍山の石仏群」

・【小略文】
「修那羅の石仏」に似た作風の霊諍山の石像。奇妙な表情の石仏が
並ぶ霊諍山。鬼の像、猫神様など数十体の石仏がズズラリ。静かな
社殿の前で昼食をとっていると山のすぐ下を通る篠ノ井線の急行列
車の轟音が響き、すぐ下の大雲寺は大きなソメイヨシノが満開でした。
・長野県千曲市

▼330号 「長野県・霊諍山の石仏群」

・【本文】
800体もの奇抜な石仏がならぶ長野県の修那羅峠(しょならとうげ)
は有名です。ところが、そこからほど近い同県更埴(こうしょく)
市八幡野地区にある霊諍山(れいそうざん)にも、修那羅峠とよく
似た作風の謎の石仏群があります。

大雲寺というお寺の裏山に当たるところで、大国主命をまつる神社
のまわりに鬼の像、猫神様など数十体の石仏がズラリとならんでい
ます。

ここの石仏は「生き霊除けの像」、「イノシシの上に乗って弓を引く
三面摩利支天像」、「誉田別尊(ほたわけのみこと)」など修那羅峠
には見られないものもあります。

ここは明治の中ごろ、木曽の御嶽山の行者北川原権兵衛が開山した
ところだという。その著「更級郡八幡村霊諍山開山申書」によると、
修那羅峠を開いた修那羅大天武の口利きで英彦(ひこ)山豊前坊(ぶ
ぜんぼう)天狗の案内で全国の神社仏閣の参詣を果たしたといいま
す。

4月の半ば、ズラ〜ッとならんだ石仏群の真ん中に陣取ります。ま
さに一人占めです。誰もいない中、ただ写真を撮り細かいところを
スケッチするのに夢中でした。

その中に神奈川県丹沢大山まいりの日があるのを見つけました。こ
んな遠くからわざわざ「大山まいり」に行ったのでしょうか。

静かな社殿の前で昼食をとっていると山のすぐ下を通る篠ノ井線の
急行列車の轟音が響きます。大雲寺は大きなソメイヨシノが満開で
境内の池に花びらが舞っていました。

▼【データ】
【所在地】
・長野県千曲市旧更埴市地区名(旧更埴市八幡)。JR篠ノ井線姨
捨駅から歩いて40分で霊諍山。地形図に山名標高点ともになし。

【位置】
・霊諍山:【緯度経度】北緯36度31分7.89秒、東経138度5分1.58
秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「稲荷山(長野)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)。

【山行】長野県修那羅山から姨捨山・霊諍山石仏めぐり
某年4月16日(月)霊諍山探訪

【参考】
・『信州の石仏』曽根原駿吉郎(文一総合出版)1980年(昭和55)
・「日本発見 石仏紀行」(暁教育図書)1980年(昭和55)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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