とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼321号「新潟県・巻機山の避難小屋」

【概略】
機織りの神・巻機大明神を祭る巻機山。牛ヶ岳と割引山への道が分
かれる鞍部「お機屋」は、怪美人・巻機姫が機を巻いていたところ
という。その直下の避難小屋近くがテン場。小屋の中では宴会にな
っているらしく、いつまでも賑やかだった。
・群馬県みなかみ町と新潟県南魚沼市との境。

▼321号「新潟県・巻機山の避難小屋」

【本文】
群馬県と新潟県・上越国境の稜線上にある巻機山(標高1967m)は
魚沼連山の主峰で割引岳、本巻機、牛ヶ岳、前巻機の山々をいって
います。山名は「日本山岳ルーツ大辞典」によれば、そこに牧草が
生え放牧に適した山ということとあります。

つまり巻機山の巻(まき)は牧(まき)であるらしい。一方でその
文字が示すようにこの山には機織りの守護神をまつってあるとい
う。

「巻機山由来記」という文書には、かつてこの山に天の織女星を祭
ったとあります。

それには「…又ウシロノ山ニハ牽牛星ヲ拝スルトテ是ヲ牛ガ岳と申
也。天ノ織女ハ女星ニテ機ヲ織タマフ。牽牛ハ男星ニテ牛ヲヒキ玉
フトナリ。本御夫婦ニテ天ノ河ノ両辺在セ玉フ。七月七日夜、鳥鵲
河ヲ填テ橋トナリ逢タマフト云フ。一説ニ曰、牛ガ岳大山住ノ命ナ
リ。巻機山ハ木ノ花開爺媛トモ云」とあります。

さらに五穀豊穣、紡績織縫に利益ありとも説いています。牛ヶ岳と
割引山への道が分かれる鞍部「お機屋」は、怪美人・巻機姫が機を
巻いていたところという。その直下の避難小屋近くがテント場。小
屋の中では宴会になっているらしく、いつまでも賑やかでした。

▼【データ】
【所在地】
・群馬県利根郡みなかみ町(旧利根郡水上町)と新潟県南魚沼市(旧
南魚沼郡塩沢町と六日町)との境。JR上越線六日町駅からバス、
清水から歩いて5時間で避難小屋。地形図に避難小屋の文字のみ記
載。

【位置】
・【避難小屋の位置】緯度経度:北緯36度58分28.04秒、東経138
度57分27.2秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」
から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「巻機山(高田)」

【山行】巻機山山行時探訪
・第1日:1995年(平成7)9月9日(土・晴れ)巻機山探訪:19
95年(平成7)9月9日(土)〜10日(日)「六日町駅・タクシー・桜
沢・三合目・五合目・八合目・前巻機山・機姫ノ池避難小屋・牛ヶ
岳・朝日岳分岐・テント場(泊)・前巻機・六合目三合目・巻機神
社・清水バス停・六日町駅」:家内と同行

【参考】
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「巻機山由来記」:「山岳宗教史研究叢書・17」(修験道史料集1・
東日本編)五来重編(名著出版)1983年(昭和58)所収
・「北越雪譜」鈴木牧之(ワイド版岩波文庫82)岡田武松校訂(岩
波書店発行)1991年(平成3)
・「巻機山」深田久弥:「日本山岳風土記5・東北北越の山々」(宝
文堂)1960年(昭和35)所収

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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