山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼294号 「北ア・双六キャンプ場のテント村」

【概略】
双六岳は北方三俣蓮華岳に至る裏銀座と呼ばれる縦走路。山頂はな
だらかな草地で高山植物の花が見られる。キャンプ場のある双六小
屋は、双六岳の肩にあり、お花畑に囲まれた双六池をバックに、遠
く笠ヶ岳を見ながらテントを張る。
・長野県大町市と岐阜県高山市の境

▼294号 「北ア・双六キャンプ場のテント村」

【本文】
北アルプス中央部にある双六岳(2806m)は、長野県側高瀬川、岐
阜県側金木戸川の源頭にあたっているから深山中の深山です。

槍ヶ岳から西鎌尾根を硫黄乗越、樅沢岳、双六岳を経て北方三俣蓮
華岳に至る裏銀座と呼ばれる縦走路にあたっています。

山頂はなだらかな草地でシーズンには高山植物のシナノキンバイ・
コバイケイソウ・リンドウなどの花が見られ、秋にはナナカマドの
赤い実と紅葉がすばらしい。

山名は「四五六」からきているという。それがなまって「双六」に
転化したというのです。岩礫のゴロゴロしたところを「ゴーロ」と
いい、五郎の名を当てたりします。黒部五郎岳も同じゴーロ岳。

そういえば東北にある野口五郎岳も明治時代の初めまで五六岳、四
五六岳と呼んでいたそうです。

双六岳は「しゴーロく」岳だったのですね。ところでゴロゴロ岩の
ところをゴーロというのは信州側のいい方だそうですから、この山
も信州側の人たちがよく仕事に入っていたのかも知れません。

「日本山岳ルーツ大辞典」によれば双六岳の山名は、山の岩盤が節
理井然(せいぜん=整然)として、碁盤(スゴロク盤もこれに似て
いた)のようなところからきているとしています。

1950年新穂高温泉から蒲田川左俣、山葵平(わさびだいら)、大ノ
マ乗越、弓折岳を経て南東の双六池に至る小池新道がつくられまし
た。

いまは一部廃道になっており鏡平から弓折岳を通るルートになって
います。双六岳の東南部に双六小屋があり、キャンプ場は、お花畑
に囲まれた双六池をバックに、遠く笠ヶ岳を見ながらテントを張れ、
いつも賑わっています。

▼【データ】
【山名・地名】
・【異名、由来】:すごろくだけ。山名は双六谷に双六の盤面に似た
盤の石があるところから名づけられたとも、また「四五六谷」が転
化して双六谷になったという説もある。

【所在地】
・長野県大町市と岐阜県高山市上宝町(旧同県吉城郡上宝村)との
境。JR高山本線高山駅からバス、新穂高温泉終点から歩いて8時
間30分で双六小屋テント場(双六岳まではさらに1時間20分)。
双六池がある。地形図に小屋名と双六池の文字のみ記載。ほかに何
も記載なし。

【位置】(標高点、三角点)(電子国土ポータル)
・【双六小屋テント場】緯度経度:北緯36度22分9.98秒、東経137
度36分6.08秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」か
ら検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「三俣蓮華岳(高山)」

【山行】北アルプス縦走
・某年8月8日(月・快晴)縦走

【参考】
・「角川日本地名大辞典21・岐阜県」野村忠夫ほか編(角川書店)1
980年(昭和55)
・「角川日本地名大辞典20・長野県」市川健夫ほか編(角川書店)1
990年(平成2)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)

【とよだ 時】 山と田園風物漫画
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 (主に画文著作で活動)
【ゆ-もぁ-と】事務所
山のはがき画の会

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