山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼217号 「長野県戸隠・高妻山と五地蔵山のコイワカガミ」

【概略】
戸隠連峰の高妻山、乙妻山は、一不動を起点に十三仏をまつります。
高妻山は10番目の十阿弥陀。十三仏とは、初七日から三十三回忌
まで十三回の追善供養に配した仏たち。高妻山の十阿弥陀は三周忌
を担当しているといいます。
・長野県長野市と新潟県妙高市との境。

▼217号 「長野県戸隠・高妻山と五地蔵山のコイワカガミ」

北信濃の高妻山(2253m)は戸隠連峰の北部にありその最高峰です。
南方にある戸隠山との鞍部に一不動避難小屋があり、そこを起点に
乙妻山までの峰づたいに順次、一不動、二釈迦、三文殊(もんじゅ)、
四普賢(ふげん)、五地蔵、六弥勒(みろく)、七薬師、八観音、九
勢至(せいし)と各仏さまを祀ってあり、その十阿弥陀(あみだ)
になるところ高妻山。

さらに奥へ十一阿しゅく、十二大日とつづきます。最終の十三虚空
蔵(こくうぞう)にあたるのが乙妻山。あわせて十三仏をまつって
あり、いまでもところどころに石碑や祠が残っています。

十三仏は、初七日(しょなのか)から三十三回忌(かいき)まで、
十三回の追善供養の配した仏さまたち。高妻山の十阿弥陀は三周忌
を担当しているといいます。

ある年の10月、戸隠キャンプ場わきから乙妻山までの山行に参加し
ました。夜行日帰りということで超早歩きのため、十三仏の名を記
入する間もありません。

一不動から高妻山頂も素通りで終点の乙妻山での昼食も立ったま
ま。帰り、五地蔵の鞍部を駆け下りたあと、わずかな休憩の時かろ
うじて祠の写真を撮っただけ。

なんとか登山口に予約しておいたタクシーに間にあいました。ピー
クハントとはこんなものか。なんともせわしない山行であることか。
ところでどんな景色だったっけ。

▼【データ】
【山名】・異名(戸隠裏山・剣峰・両界山・戸隠富士)

【所在地】
・長野県長野市戸隠(旧上水内郡戸隠村)と新潟県妙高市旧妙高高
原町旧地区名(旧中頸城郡妙高高原町)との境。JR長野駅からバ
ス・戸隠キャンプ場から歩いて5時間で高妻山。二等三角点(2352.8
m)がある。地形図に山名と三角点とその標高の記載あり。

【位置】
・三角点:北緯36度48分0.22秒、東経138度03分06.96秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「高妻山(高田)」

【山行】・高妻山乙妻山山行
・某年10月10日(水)探訪

【参考】
・「角川日本地名大辞典20・長野県」市川健夫ほか編(角川書店)1
990年(平成2)
・「戸隠・飯縄の修験伝承」佐藤貢:(「山岳宗教史研究叢書・16」(名
著出版)所収
・『信州山岳百科3』(信濃毎日新聞社)1983年(昭和58)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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