山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼182号 「秩父・秩父御岳山と普寛行者」

【概略】
秩父御岳山は長野県の木曽御嶽にちなんだ山名で、山ろくの落合集
落出身の修験者普寛行者によって開かれたという。そのため、山頂
に普寛神社奥の院があり、普寛行者をまつってあります。普寛行者
は御岳山大滝口を開いた修験者だ。
・埼玉県秩父市と小鹿野町との境

▼182号 「秩父・秩父御岳山と普寛行者」

埼玉県秩父地方にあるその名も御岳山(秩父御岳山・ちちぶおんた
けさん)は、1080mと標高は低いですが手軽に登れることもあって、
登山者でいつもにぎやかです。

山の名は長野県の木曽御嶽にちなんだもので、山ろく埼玉県秩父市
大滝(旧秩父郡大滝村)落合の修験者普寛行者によって開かれたと
いいます。

そのため、山頂に行者をまつる普寛神社奥の院があり、当然普寛行
者をまつってあります。

普寛行者は江戸中期の修験者で、三峰山で天台密教を修行ののち、
全国の霊山を巡歴。三峰山の奥の院をはじめ武甲山、上州武尊山、
越後八海山、木曽の御岳山王滝口、三笠山、筑波山、羽黒山、戸隠、
立山、白山、阿蘇山、国見岳、桜島にまで足をのばしたという。

なかでも、寛政4(1782)年6月には木曽御岳山の未開拓なのを聞
き、御岳山大滝口を開きました。大滝口の名はもちろん行者が生ま
れた大滝村にちなんでつけた名前だそうです。

52歳の時、伝燈大阿闍梨(あじゃり)になりました。秩父御岳山登
山口・秩父市大滝字落合には普寛神社里宮があって、登山者は必ず
おまいりする所。時どき山頂奥宮の鐘の大きな音が聞こえてきます。

▼【データ】
【所在地】
・埼玉県秩父市大滝(旧秩父郡大滝村)と同県秩父郡小鹿野町両神
(旧秩父郡両神村)との境。秩父鉄道三峰口駅の北西3キロ。秩父
鉄道三峰口からバス、落合から歩いて2時間で秩父御岳山。

・山頂に三等三角点(1080.4m)と普寛神社の奥宮がある。
・地形図に山名と三角点の標高と神社鳥居記載あり。付近に何も記
載なし。

【位置】
・【三角点】緯度経度:北緯35度57分59.63秒、東経138度56分33.5
秒(電子国土ポータルWebシステムから検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「三峰(甲府)」

【参考】
・「角川日本地名大辞典11・埼玉県」小野文雄ほか編(角川書店)1
980年(昭和55)
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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