山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼150号「房総・高宕山山頂のホコラ」

【概略】
山頂の祠の清滝神社は「高おかみ神」をまつり雨を司る神。ひでり
になると、村人は清滝神社に祈願、山頂下観音堂わきの岩からした
たり落ちる清水を借りて田んぼにまき、念願がかなうと倍の水を返
したという。祠の前の鉄ナベはその時使ったものという。
・千葉県富津市と君津市との境

▼150号「房総・高宕山山頂のホコラ」

千葉県君津市と富津市の境にある岩山・高宕山(たかごやま)は、
九十九谷から太平洋方面の山々、東京湾方面とぐるりと展望がきき
ます。

この山は雨乞いの山でもあります。山頂にまつられている清滝(き
よたき)神社の祠の前には、まわりになにやら文字が彫ってある鉄
ナベがころがっています。

昔、ひでりになると、村人はこの清滝神社に祈願し、高宕観音堂わ
きから湧き落ちる清水を借りて(汲んで)帰り、田んぼにまくと不
思議に雨が降ったといいます。

その時、途中で休んだりすると、そこに雨が降ってしまうといい、
遠く市原、夷隅、安房などからやってくる人たちも、この「水借り」
の行事には村人がリレー式で運んだそうです。

そしてめでたく念願がかなうと借りた倍の水を返したという。山頂
の清滝神社は「高おかみ神」をまつります(「おかみ」の漢字は雨
かんむりの下に口を横に3つならべ、その下に龍の字を書いた何や
ら難しい字です)。

この神は「暗(くら)おかみ神」と一対で雨を司る神だという。古
くから祈雨、止雨の神で京都の貴船神社の祭神になっています。前
者は文字通り高い山にまつる神であり、丹沢の大山にも祭られてい
ます。後者は谷底に祭られます。

▼【データ】
【山名】高宕山(たかごやま)。高くて洞穴のある山の意味。

【所在地】
・千葉県富津市と君津市との境。内房線上総湊駅の北東5キロ。J
R内房線木更津駅からバス宿原下車、歩いて2時間で高宕山。二等
三角点(315.1m)と写真測量による標高点(標高330m)がある。
地形図に山名と三角点の標高、標高点の標高の記載あり。関東ふれ
あいの道。

【位置】
・三角点:【緯度経度】(北緯35度11分47.69秒、東経139度59
分35.51秒)(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検
索)

・標高点:北緯35度11分53.81秒、東経139度59分32.94秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「鬼泪山(横須賀)」と「坂畑(大多喜)」(2
図葉名と重なる)

【参考】
・「鹿野山と山岳信仰」岡倉捷郎(崙書房)1988年(昭和63)
・「角川日本地名大辞典12・千葉」川村優ほか編(角川書店)1984
年(昭和59)
・「房総志料続編」:「房総叢書・6」紀元二千六百年記念(房総叢
書刊行会)1941年(昭和16)
・「房総叢書・6」紀元二千六百年記念(房総叢書刊行会)1941年
(昭和16)
・「日本山岳ルーツ大辞典」村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・「房総の山」千葉県山岳連盟(千秋社)1977年(昭和52)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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