山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼130号 八ヶ岳・赤岳周辺の伝説

八ヶ岳・赤岳を中心とする一帯は修験の山。扇状の岩峰全体はまさ
に修行の道場。その根もとにある行者小屋。かつては名前の通り行
者たちが泊まる小屋だった。赤岳の西方にあるのが阿弥陀岳。アミ
ダくじの名でも親しまれる仏様。昔は如来の後光に似た形だったと
いう。

【本文】

八ヶ岳の主峰赤岳(2899m)の山名は、山肌が酸化して赤褐色をし
ているからだとも、赤に神がかった発音や色を見いだし、主峰とし
ての貫禄にふさわしい感じがあるからだともいわれています。

山頂は二つの峰に分かれています。南峰にまつられた赤岳山神社は
茅野市泉野下槻木に里宮があり、1789(寛政元)年の建立といいま
す。また赤岳の西方にある阿弥陀岳(2805m)にまつられているの
はアミダくじの名でも親しまれている仏さま。

いまでこそ、アミダくじはたて線にチョンチョンとひきますが、昔
はクモの巣のように描いたという。形が阿弥陀如来の後光ににてい
るためアミダくじとと呼んだそうです。

赤岳を中心とする一帯は修験道の山でもありました。御柱山は前山
に当たり、阿弥陀岳・赤岳は奥ノ院になります。また、横岳、硫黄
岳とつづく山容は切り立った岩峰で、山岳信仰の戸隠山によく似て
います。

扇状の岩峰全体はまさに修行の道場。その根もとにある行者小屋。
かつては名前の通り行者たちが泊まる小屋でした。行者小屋のテン
ト場から見上げる道場は雪の岩壁。修験者の気分にひたり、暮れゆ
く赤岳を見ながら般若湯(アルコール)にのどをならしました。

▼【データ】
【山名】・赤岳(あかだけ)。山肌が酸化して赤褐色をしているから
だとも、赤に神がかった発音や色を見いだし、主峰としての貫禄に
ふさわしい感じがあるからだともいわれています。

【所在地】
・長野県茅野市と長野県諏訪郡富士見町、長野県南佐久郡南牧村と
山梨県北杜市大泉町(旧北巨摩郡大泉村)、山梨県北杜市高根町(旧
北巨摩郡高根町)との境。中央本線茅野駅の東20キロ。JR中央本
線茅野駅からバス、美濃戸から歩いて4時間30分で赤岳(山頂に南
峰と北峰がある)。南峰に一等三角点(2899.2m)と赤岳神社の石
祠と神道関係の大祠、北峰に赤岳頂上小屋がある。地形図に山名と
三角点の標高と赤岳頂上小屋の記載あり。

【位置】
・三角点:北緯35度58分15.01秒、東経138度22分12.19秒秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「八ヶ岳西部(甲府)」or「八ヶ岳東部(甲
府)」(2図葉名と重なる)

【参考】
・「角川日本地名大辞典20・長野」(角川書店)1991年(平成3)
・「角川日本地名大辞典19・山梨」(角川書店)1991年(平成3)
・「信州山岳百科・2」(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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