山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼127号 丹沢・宮ヶ瀬ダムの野猿

宮が瀬ダム工事まっ最中の当時、仏果山から宮ヶ瀬に下る登山道で
野猿の群れに追いついた。猿たちは危害を加えるヤツではないとみ
たのか、ボスを中心にくつろいでいる。ダムはとうに完成、騒音に
苦しみ、なわばりを削り取られて無惨な地肌。あの群れはどうなっ
ただろうか。

【本文】

首都圏から近く大勢の人が訪れる丹沢山塊。それも東丹沢の仏果山
は小さな子どもまでにぎやかです。その下方のダム水没地帯がテリ
トリーだった野猿の群れ。大音響の工事を見ながらなに思う。

いまは東丹沢の宮が瀬ダムはなみなみとさざ波を寄せています。か
つて工事まっ最中の当時は、建設機械がうなっていました。

ある年、仏果山から宮ヶ瀬に下る登山道の途中を歩いていた時、先
を進む野猿の群れに追いついてしまいました。こちらも猿たちを驚
かさないよう気を遣って群れに話しかけます。

猿たちは、しばらく様子を観察していましたが、危害を加えるヤツ
ではないとみたのか、ボスを中心にくつろいでいます。いたずら兄
猿、甘える子猿。

それを世話する母親。親猿のそれぞれの役割。猿の群れもひとつの
家族です。ところがそのすぐ下にはすでに立派な道路ができ、対岸
まで大きな橋が架けられています。

あれからン十年。ダムはとうに完成し、道路はクルマがひっきりな
し。騒音に苦しみ、なわばりを削り取られて無惨な地肌。あの群れ
はいまも元気でしょうか。

▼【データ】
【所在地】
・神奈川県愛甲郡愛川町と神奈川県愛甲郡清川村との境。相模線上
溝駅の南西11キロ。小田急本厚木駅からバス、仏果山登山口下車、
歩いて1時間半で仏果山。三角点(成果亡失・747.1m)。地形図に
は山名と標高(747m)のみだが(2008年ころ)「ポータル」で拡大
すると三角点(747.1m)があらわれた(2010年2月には現れなく
なった)。基準点成果等閲覧サービス」にも記載あり。地形図に山
名と標高点の標高。首都圏自然歩道の文字の記載あり。

【位置】
・標高点:北緯35度31分14.02秒、東経139度15分29.15秒
・三角点:北緯35度31分13.99秒、東経139度15分29.09秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「青野原(東京)」or「上溝(東京)」(2図
葉名と重なる)(電子国土ポータルWebシステムから検索)。5万分
の1地形図「基準点成果等閲覧サービスに項目なし」

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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