山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼122号 北ア・爺ヶ岳元旦の雪上訓練

後立山連峰のふもと鹿島集落は落人伝説が残る。元旦、狩野さん宅
の裏から東尾根に登り2090m付近にテント。ゲレンデをつくり雪上
訓練。ピッケルの木製シャフトが折れ、ゴーグルはふっ飛ぶわ、雪
だるまになるわの悪戦苦闘。それでも「雪遊び」で童心に返った3
日間でした。

【本文】

戦国時代の落人伝説は各地にありますが、ここ北アルプスの後立山
(うしろたてやま)連峰・鹿島槍ヶ岳(2889m)と爺ヶ岳(2670m)
の登山口、長野県大町市の鹿島集落もそのひとつとして有名なとこ
ろです。

この集落で民宿を営む狩野さんは登山者の世話をしてくれる「鹿島
のおばば」として知られています。初代おばばから家宝として引き
つがれている「登高記念」と題する登山記念帳は北アルプスの登山
史料としても貴重なものになっています。

ある年の元旦、記念帳に記帳後、東尾根から爺ヶ岳をめざします。
爺ヶ岳はかつては五六岳といい、北峰を五岳、主峰を六岳、南方を
爺ヶ岳といっていたそうです。

名前の由来は種まき爺さんの雪形(ゆきがた)からついたという。
2090m付近にテントを張り、早速雪上訓練のゲレンデづくり。リー
ダーが滑落停止の模範を示します。ピッケルの木製シャフトが折れ
るほどのモノスゴサです。

名前を呼ばれて尻ごみしながらの挑戦。ゴーグルはふっ飛ぶわ、雪
だるまになるわの悪戦苦闘の連続です。それでもだんだんに慣れる
「雪遊び」。歓声をあげながら童心に返った3日間でした。

▼【データ】
【所在地】
・長野県大町市。大糸線信濃町駅からタクシー鹿島下車、歩6時間
半で2090m付近。地形図に何も記載なし。近くに2198mの標高点あ
り。

【位置】
・2090m付近:北緯36度35分01.13秒、東経137度46分03.79秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「大町(高山)」or「神城(高山)」(2図葉
名と重なる)

【参考】
・「角川日本地名大辞典20・長野県」市川健夫ほか編(角川書店)1
990年(平成2)
・「信州山岳百科・1」(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・「山の紋章・雪形」田淵行男著(学習研究社)1981年(昭和56)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

………………………………………………………………………………………………
山旅イラスト【ひとり画通信】
題名一覧へ戻る