山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼121号 丹沢・檜洞丸の山名

檜洞(ひのきぼら)丸の洞は沢のことで、丸は古代朝鮮の言葉「マ
ウル」で山の意味だという。だから沢にヒノキの生えている山のこ
とだといいます。また檜原丸・檜丸・彦左衛門の頭・青ヶ岳・本棚
裏。裏は末(うら)の意味?・丸山などの異名もあります。山の名
前むずかしいものですね。
・・神奈川県山北町と相模原市の境。

【本文】は下方にあります。

▼121号 丹沢・檜洞丸の山名

【本文】

神奈川県丹沢山塊中央部に檜洞丸(ひのきぼらまる)という山があ
ります。この山名は、洞穴のある大きなヒノキの木が生えている丸
い山の意味との説があります。

ところが山頂付近にはヒノキなんぞは1本もなく、うろのあるシナ
ノキばかり…。地元山岳会の「さがみの会」の会員だった故栗原祥
氏によれば、洞とは沢のことで、丸は古代朝鮮の言葉「マウル」で
山の意味。

だから檜洞丸とは「沢にヒノキの生えている山」のことだという。
檜洞丸にはその他に6つもの異名があります。1・檜原丸(ひのき
ばらまる・これは檜洞丸からの転化か)。

2・檜丸(ひのきまる・檜洞丸の略か?)。3・彦左衛門の頭。北
側の神ノ川の彦左衛門谷の源頭の山という意味。4・青ヶ岳ともい
う。これは樹木が生い茂って青く見えるから。

またここにはカモシカが多く、檜洞丸北麓の山梨県道志村・神奈川
県津久井町青根地区ではそれをアオと呼ぶところから青ヶ岳。5・
本棚裏。裏は末(うら)の転化か。本棚沢の末端の山。

6・丸山ともいいます。これは北側から見た丸い山の形からと説明
しています。山の名前は本当にむずかしいものです。この山の標高
点は1151mで、山頂ではなく西北に少し下りたところにあります。

ちなみに山頂の祠は山ろく山北町の寒田神社の山宮。猿田彦(さる
だひこ)神、大山祇(おおやまずみ)神、大巳貴(おおなむち)神
(大国主命のこと)を祭っています。

▼【データ】
【山名】檜洞(洞は沢の意)の奥にそびえているから檜洞丸。
北側の神ノ川方面では青ヶ岳または彦右衛門の頭と呼ぶ。神
ノ川はカモシカが多く、カモシカのことをアオといい、青ヶ
岳はそこからきている。南側の中川方面では本棚裏と呼ぶ。

【所在地】
・神奈川県足柄上郡山北町と神奈川県相模原市(旧津久井郡津久井
町)の境。御殿場線山北駅の北13キロ。小田急新松田駅からバス・
西丹沢から歩いて3時間で檜洞丸。写真測量による標高点(1151m)
がある(最高ピークより北西にある)。地形図に山名と標高点の標
高・青ヶ岳山荘の記載あり。

【位置】
・標高点:北緯35度28分47.9秒、東経139度6分4.71秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「中川(東京)」(国土地理院「地図閲覧サ
ービス」から検索)

【参考】
・『イラスト丹沢・山ものがたり』とよた 時(山と渓谷社)1991年
(平成3)
・『コンサイス日本山名辞典』(三省堂)1979年(昭和54)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「尊仏2号」栗原祥・山田邦昭ほか(さがみの会)1989年(平成
1)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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