山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼061号「長野県・塩の道の源長寺」

・【概略】
千国街道塩の道は歴史の道として人気がある。なかでもは室町末期
開基の源長寺の洞光和尚は小蓮華山に大日如来の石像をまつったと
いう。大きな道祖神や庚申塔、境内の塔に刻まれた六地蔵、元貞翁
筆塚、子持ち地蔵、西国三十三番観音、源長寺石仏群などもならぶ。

・【本文】

「2本の足は2人の医者」といわれるほど、歩くことは健康によい
という。そういえば中高年の方の街歩き、街道歩きの姿もよく見か
けます。

長野県の千国街道(塩の道)は石碑、石仏が多く歩く歴史の道とし
て人気があります。塩の道はご存知、信州松本と越後糸魚川を結ぶ
古道。

塩、魚などの海産物を内陸へ、また内陸の産物を海辺の町へ搬出す
る交易路だったといいます。120キロにおよぶこの道は、中世以前
から栄えてきたが、国道148号線が完成した明治20年ごろから急激
にすたれてしまったという。

道中の各所には神社やお寺も多く見受けられます。なかでもJR千
国駅近くの源長寺は、元亀元年(1570・室町末期開基)のお寺だそ
うです。

開祖の洞光和尚は、天正2年(1574)、白馬岳東北方の小蓮華山(27
69m)に登り、大日如来の石像をまつったことでも由緒深い。石仏
はその後盗難にあい、いまある如来像はのちに改めてまつったもの
だといいます。

ある年の夏、山ノ神尾根から小蓮華岳、白馬岳をめざす途中、源長
寺をずねました。大きな道祖神や、庚申塔わきの石の階段を登った
境内で、1つの塔に刻まれた六地蔵、元貞翁筆塚、子持ち地蔵など
を見物。

寺の近くには、西国三十三番観音、源長寺石仏群などがならんでい
ます。ところが、ここでの参拝の仕方が悪かったのか、その夕方、
山ノ神尾根上部の天狗原で逆向きの道標にまどわされ、道に迷って
湿原の中をはいずりまわるテイタラク。

ついに雨も降り出し沢沿いでビバークするありさま。結局、小蓮華
山の大日如来像をたずねられたのは、やっと3日後。その間オレは
いったい何やってたんだろう。

▼【データ】
【所在地】
・長野県北安曇郡小谷村。JR大糸線千国駅から歩いて10分で源
長寺。地形図に寺院記号のみ記載あり。

【位置】
・源長寺:【緯度経度】北緯36度45分48.0秒、東経137度53分
50.0秒(ちょうど)(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」
から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「雨中(富山)」(国土地理院「地図閲覧サ
ービス」から検索)

【参考】
・「アルパインガイド・27」(白馬岳・後立山連峰)(山と渓谷社)1
979年(昭和54)
・「北アルプス白馬連峰 その歴史と民俗」長沢武(郷土出版社)1
986年(昭和61)
・「日本歴史地名大系20・長野県の地名」(平凡社)1979年(昭和54)
・『塩の道・千国街道案内図』4)

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山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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