山の伝承伝説に遊ぶ
山旅通信
【ひとり画ってん】とよだ 時

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▼054号「北ア・穂高涸沢の土地争い」

色とりどりのテント村ができる涸沢カール。5月の連休、雪の世界
ながらテントの軒先がつながる超過密地化。あちこちらで雪の上の
土地争い。朝のトイレは2時間待ち。最終日、テントをたたんでい
る人が多い。翌日はたった数張りだけ。ウソのような過疎の村に変
わっていた。

▼054号「北ア・穂高涸沢の土地争い」

夏山のシーズンになると色とりどりのテントがならび、きれいなテ
ント村ができることで名高い穂高の涸沢カール。ここは北穂高岳・
唐沢岳・奥穂高岳・前穂高岳など山々に囲まれたカールのどん底
で、まるで岩の「すり鉢」の中にいるようです。

5月の連休は、まわりは雪の世界ながらテントの軒先がつながるほ
どの「超過密住宅地」に化します。あちらこちらで「ここはボクら
が先にテントを張ろうと思っていた所だ」と雪の上の土地争いが始
まります。

朝のトイレはナント2時間待ちで、長々と行列がつづくしまつ。「女
性は特別にこちらからどうぞ」と小屋の従業員が先頭に案内してい
ます。それを横目で見ながら足踏みをする人もいます。

今回の山行はある山岳会の3泊4日の涸沢合宿。きのう、北穂高岳
(3106m)に登り、きょうは前穂高岳(3090m)の北尾根に行く予
定です。モチロンお荷物として連れていってもらう身分。

昼間はグチャグチャにゆるんでいる雪も、朝登る時はカチンカチン
と凍っています。大勢の足跡が穴になって凍っているので歩きにく
いことおびただしい。

北尾根はきのうかなり混んでいたと聞き、直接3、4のコルへ。ザ
イルを結びながら涸沢を望む。連休最終日のため、テントをたたん
でいる人が多い。

奥穂の小屋から尻セードで下につくころは、もう数えるほどに。翌
日下山するときにはたった数張りだけ。ウソのような過疎の村に変
わっているのでありました。

▼【データ】
【所在地】
・長野県松本市安曇(旧南安曇郡安曇村)。長野電鉄新島々駅から
バス・上高地から歩いて6時間30分で涸沢ヒュッテ。標高点(2309
m)がある。地形図に標高点の標高と涸沢ヒュッテの記載あり。

【位置】
・写真測量による標高点(2309m)。【緯度経度】北緯36度17分38.1
4秒、東経137度39分48.16秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシ
ステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「穂高岳(高山)」(国土地理院「地図閲覧
サービス」から検索)

【山行】
・「新日本山岳誌」日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「日本山名事典」徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)
・「角川日本地名大辞典20・長野県」市川健夫ほか編(角川書店)
1990年(平成2)

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山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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