山の伝承伝説に遊ぶ
山旅通信
【ひとり画ってん】とよだ 時

……………………………………

▼040号 「北ア・爺ヶ岳東尾根の雪洞」

【略文】
爺ヶ岳への登山口鹿島集落から登りはじめた東尾根での雪上訓練。
夕べテントは定員オーバーでウトウトしただけでした。今夜はそば
の雪洞を修理してもぐり込みました。
朝、目が覚めると中がせまくなっている感じします。雪がゆるんで
天井がつぶれかかっているのでしだ。あわてて小さな入り口からは
い出しました。クワバラ、クワバラ。危ないところでした。
・長野県大町市

▼040号「北ア・爺ヶ岳東尾根の雪洞」

春、雪がとけだすころ、山の斜面の岩肌が黒く種まきじいさんの姿
が雪形になってあらわれるのでつけた名前が爺ヶ岳。北アルプス後
立山連峰爺ヶ岳(2670m)。

峰が北峰、中峰、南峰の3つに分かれていて、江戸時代は北峰を五
岳、まん中を六岳といい、合わせて五六岳と呼んでいたそうです。
残りの南峰は祖父岳になっていたという。

明治時代になって、お上がこの山の統一の名として爺ヶ岳にしたと
いう。ここ長野県大町から山中に入った鹿島集落。さらに爺ヶ岳へ
つづく東尾根に入ります。

5、6mの積雪の中、ワカン歩行や滑落停止の雪上訓練がつづきま
す。きょうは正月ももう3日。きのう白銀の姿をみせていた鹿島槍
ヶ岳も、ガスの中。雪のテント、ゆうべは定員オーバーで身動きが
とれずウトウトしただけ。

これに懲りて、今夜はそばに掘ってあった雪洞を修理してもぐり込
みました。朝、目を覚まして見ると、雪洞の中の空間がせまくなっ
ているような気がします。よ

く見ると雪がゆるんで天井がつぶれかかってきています。クワバラ、
クワバラ。あわてて小さな入り口からはい出しました。危ないとこ
ろでした。

▼【データ】
【所在地】
・長野県大町市。大糸線信濃町駅からタクシー鹿島下車、歩6時間
半で2090m付近。地形図に何も記載なし。近くに2198mの標高点あ
り。

【位置】
・2090m付近:北緯36度35分01.13秒、東経137度46分03.79秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「大町(高山)」or「神城(高山)」(2図葉
名と重なる)

【参考】
・『角川日本地名大辞典20・長野県』市川健夫ほか編(角川書店)1
990年(平成2)

……………………………………

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

………………………………………………………………………………………………
山旅通信【ひとり画展】
題名一覧へ戻る