山の伝承伝説に遊ぶ
山旅通信
【ひとり画ってん】とよだ 時

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▼020号「北ア・白馬岳登山道のライチョウ

【略文】
初夏に黒い馬の雪形ができ農作業の目安になるため苗代馬(しろ
うま)岳と呼んでいたのが白馬岳に転化したという。大雪渓を登
ると山頂付近でカメラをかまえた人だかり。道の真ん中でライチ
ョウが砂あびをしながらまるでモデル気分でポーズをとっていま
す。ちょっと太めのモデルさんでした。

▼020号「北ア・白馬岳登山道のライチョウ

【本文】
高山植物で有名な北アルプス白馬岳(しろうまだけ・2932m)は、
シーズンになるとシナノキンバイ、チングルマ、コマクサ、ウサ
ギギクなど乱れ咲く花は数えきれません。

白馬岳の名は雪がとけ出す初夏、山腹(三国境と呼ばれるところ
の東南面)に苗代(なわしろ)づくりをはじめる時期の目安にな
る馬の形の雪形が黒くできることからついたといわれています。
苗代馬岳が代馬(しろうま)に、そして白馬岳になったとのこと
です。

だから白馬岳を「ハクバ」と呼ぶのは問題だと地名学者はいって
います。猿倉地区からの登山道である大雪渓は夏でも涼しくまる
で天然冷蔵庫のなかにいるようです。

しかしそこを過ぎれば猛烈な暑さが待っています。まわりのお花
畑よりも彼方の山頂に気をとられます。山頂付近でカメラをかま
えた人だかり。

なんと、道の真ん中でライチョウが砂あびをしています。「観光地」
として場慣れした感じ。シャッターの音にも驚かず、まるでモデ
ル気分でポーズをとっています。ちょっと太めのモデルさん、山
小屋でもみんなの話題になっていました。

▼【データ】
【山名】白馬岳(しろうまだけ)・大蓮華山(おおれんげやま)。
苗代づくりの目安になる黒い馬の雪形が由来。苗かき代馬岳が代
馬(しろうま)になり白馬岳になった。山頂の山名案内板は、191
6年(大正5)に新田次郎の小説「強力伝」のモデルとなった強力
たちが持ち上げたものとされている。

【所在地】
・長野県北安曇郡白馬村と富山県下新川郡朝日町との境。大糸線
白馬駅の北西10キロ。JR大糸線白馬駅からバス、猿倉から大雪
渓経由6時間15分で白馬岳。一等三角点(標高2932.2m)がある。
地形図に三角点記号と標高2932.2m文字と南側に石碑の記載あり。

【位置】
・三角点:北緯36度45分30.71秒、東経137度45分30.77秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「白馬岳(富山)」

【参考】
・「北アルプス白馬連峰 その歴史と民俗」長沢武(郷土出版社)
1986年(昭和61)
・「信州山岳百科・1」(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)

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山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅通信【ひとり画展】
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