▼035「房総・石射太郎山の伝説」

かつて石切場があった石射太郎山。3月の休日、小雪混じりの雨
もやみ岩峰で休憩。地元の子が遠くから叫んでいる。「あのォ、そ
こはァ、割れめがあってくずれるかも知れねェ」えーッ。早くそ
れを言えーッ。大慌てで降りた。あれからン!十年、まだ崩れて
いません。
・千葉県富津市と君津市との境。

【本文】

房総の石射太郎山(258m)は野猿で有名な高宕山のすぐ北側にあ
る山で岩峰を持っています。大正のころまでは石を建築に利用す
るための石切場があったそうです。

300年くらい前、伊豆から石切職人がやって来て、本格的に石の生
産が行われていましたが、関東大震災で崩壊し切り出しは中止し
てしまったという。いまは岩峰に割れ目が入ってしまったという。

その昔、石射太郎山の北西にある(いまはマザー牧場で有名な)
鹿野山に、デーデッポという大男がすんでいました。大男は石射
太郎山の上にある大岩を怪物と見間違えて矢を放ちました。

矢は8畳敷きもある岩を射飛ばしたという。驚いた村人は、それ
からはこの山を石射太郎山と呼んだという伝説があります。射飛
ばした岩はいまでも高宕山近くの沢にあるという。

近くに小さな小屋があり、以前はハイカーが来ると地元の人たち
が大豆や麦などの餌をまいて野猿たちを呼び集めて見せてくれて
いました。

3月のある休日。小雪混じりの雨もあがり、石切場の岩峰の上ま
で登って休みました。地元の子どもが遠くから何やら叫んでいま
す。エ?ナニ?聞こえないヨー。

「あのォ、そこのオ、岩は割れめがあってくずれるかも知れねェ
から立入禁止になっているんだァー」えーッ。早くそれを言えー
ッ。大慌てで降りてきました。

なるほど立入禁止らしき柵はありましたが朽ちてしまっていまし
た。あれからン十年、まだ岩は崩れていません。その後丈夫な柵
が作られました。

▼【データ】
【山名】石射太郎山(いしいたろうやま)。大男石射太郎が石を弓
で射たという伝説山

【所在地】
・千葉県富津市と君津市との境。JR内房線木更津駅からバス、植
畑上郷バス停から1時間10分で石射太郎山(標高258m)地形図
に山名なし標高なし

【位置】
・石射太郎山:北緯35度12分49.8秒、東経139度59分6.28秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「鬼泪山(横須賀)」

【参考】
・『房総の山』千葉県山岳連盟(千秋社)1977年(昭和52)
・『房総の伝説』平野馨著(第一法規刊)1976年(昭和51)

 

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