【全国の山・天狗のはなし】
▼25:埼玉県の山
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▼02「両神山八海山大頭羅坊天狗」 【略文】 |
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▼02両神山八海山大頭羅坊天狗 【本文】 埼玉県両神山(1723m) は、深田久弥の『日本百名山』にも取り上 げられる名山。飛鳥時代の役ノ行者(えんのぎょうじゃ)の開山と され、かつては修験道の山として賑わいました。 その表参道、八海山(はっかいさん)とよばれる所に大頭羅神王(お おずらしんのう)という石像があります。 右手に剣を持ち、髪の毛のなかにはもう一つの顔が異様な形で彫ら れています。この山の信仰は木曽の御嶽山の行者によって始まった ものという。 そういえば御嶽山の前衛の山の八海山、三笠山、阿留摩耶山(ある まやさん)の名も地図の上に見うけられます。しかも、行者の唱え る唱文のなかに「三笠山刀利天坊(とうりてんぼう)、八海山大頭 羅坊、阿留摩耶山アルマヤ坊…」と御嶽山と同じ天狗の名がでてく るという。 ならばこの大頭羅神王というのは、御嶽山の天狗の分身であるわけ です。火炎に似た形をした髪の毛のなかの顔は両牙をむきだし、見 ようによっては不動さまのようにも見えます。 そういえば石像のすぐ上は弘法の清水という水場があり、なにやら 関連ありそうです。人の気配も感じない深山。耳にハルゼミの鳴き 声がしみるひとときでした。 ▼【データ】 【所在地】 ・埼玉県秩父郡小鹿野町両神(旧秩父郡両神村)秩父鉄道三峰口駅 の北西14キロ。西武線秩父駅からバス・小鹿野乗り換え出原から 歩いて2時間で八海山大頭羅神王の石像。地形図になにも記載なし。 【位置】 ・石像:緯度経度:北緯36度1分24.67秒、東経138度51分36.14秒 【地図】 ・2万5千分の1地形図「両神山(長野)」 ▼【参考】 ・『図聚天狗列伝・東日本編』知切光歳(三樹書房)1977年(昭和5 2) ・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50) |
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【とよだ 時】 山と田園風物漫画
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(主に画文著作で活動)
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