『新・丹沢山ものがたり』CD本(加筆版)
第16章「大野山−神縄付近」

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▼07:神縄頼政神社

頼政神社というのも各地で見かける神社です。まつられている神は
源頼政(みなもとのよりまさ)という人。源頼政は源平争乱時代の
武将。平治の乱(1159・平安時代・平治元年に起こった源平の戦い)
に同族の源義朝をすてて、平清盛に味方します。

そのため「平家にあらずんば人にあらず」の時代にもかかわらず、
源氏の身ながら従三位(じゅうさんみ)という破格の恵まれた待遇
を得ました。

しかしその後、源頼政は源氏の世にしようと志し、高倉宮以仁王(た
かくらのみやもちひとおう)にすすめ、平家討伐をはかります。で
すが戦いに利なく、あえなく自害をする羽目に追い込まれます。


そんな運命をあわれみ、これが頼政の墓だ、あれが頼政の塚だと数
々の伝説が生まれます。ここ丹沢湖に通ずるトンネル手前にも頼政
神社がおわします。

集落名も神縄といかにも神がかり。境内のトチノキは「かながわの
名木100選」のひとつで、昔、飢きんの時、このトチノキの実を食
べ何人もの命が救われたと立て札にあります。

布なわでならす鈴の音に混じって、遠く三保ダム公園のスピーカー
の声がひびいていました。

▼【データ】
【所在地】
・神奈川県足柄上郡山北町神縄。小田急松田駅からバス40
分神縄停留所近く。地形図に鳥居記号のみの記載あり。

【位置】
・頼政神社:緯度経度:北緯35度24分9.46秒、東経139度02分
36.8秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「山北(東京)」(国土地理院「地図閲覧サ
ービス」から検索)

▼【参考】
・『日本伝奇伝説大事典』編者・乾勝己ほか(角川書店)1990年(平
成2)
・『日本架空伝承人名事典』大隅和雄ほか(平凡社)1992年(平成4)

▼07:神縄頼政神社(終わり)

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