『新・丹沢山ものがたり』CD本(加筆版)
第7章「丹沢山・丹沢三ツ峰」

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▼03:エンザンギの頭

神奈川県丹沢山塊の名前のもとになった丹沢山から北東へ派生する
尾根丹沢三ツ峰尾根といっています。三ツ峰とはいっても、実際に
は丹沢山側から、瀬戸沢ノ頭、大礼ノ頭、円山木ノ頭、本間ノ頭と
四ツ峰です。

しかし、丹沢四ツ峰ではどうもゴロがよくないししまりません。そ
こでだれがつけたか丹沢三ツ峰の名前があります。2万5千分の1
地形図では、瀬戸沢ノ頭を除き、東側へ、西峰、中峰、東峰と記載
されています。


その中峰が円山木ノ頭。エンザンギとは漢字で書けば円座木。枝が
円座のように輪生し、四方八方にのびている木をいうそうです。そ
んな木は神の宿る木として、昔からきこりの間で大事にされてきた
といいます。

また、別の説があります。秋にヤマブドウなどをねらって熊が木に
登ります。その時、取りはがしたヤマブドウのつるを枝の上に丸く
敷き込んで、それに腰かけるのだそうです。あとで見るとまるで「円
座」が木に乗っているよう。それを円座木といい、その「エンザギ」
からなまって「ン」を入れエンザンギになったという人もいます。
山の名前はいつもむずかしいですね。


▼【データ】
【所在地】
・神奈川県相模原市(旧津久井郡津久井町)と神奈川県愛甲郡清川
村との境。小田急秦野駅からバス、大倉から歩いて6時間で円山木
ノ頭(中峰)。写真測量による標高点(1360m)がある。地形図に
中峰の文字と標高点の標高の記載あり。中峰より北東方780mに東
峰。南西方580mに西峰がある。

【位置】
・標高点:北緯35度29分23.86秒、東経139度10分32.09秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「大山(東京)」



▼【参考】
・『角川日本地名大辞典14・神奈川県』伊倉退蔵ほか編(角川書店)
1984年(昭和59)
・『かながわの山」植木知司(神奈川合同出版)1981年(昭和56)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・「尊仏2号」栗原祥・山田邦昭ほか(さがみの会)1989年(平成
1)

▼03:エンザンギの頭(終わり)

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