【野の本・山の本】冬編

………………………………………………

【まえがき】

 冬、里を歩きます。夕べ降った雪が、朝日に輝いています。誰が
つくったのか、雪だるまがあります。誰も踏んでいない雪の上を歩
くのは、気持ちのいいものです。

 雪の野。小さな足跡がたくさんついています。タヌキかイタチか
野ウサギか。野生の動物はいつも元気です。道祖神の上にも雪が積
もっています。

 犬をつれて林の中。ほてったほほに北風が気持ちよく当たります。
ムギ畑のむこうからヤブウグイスの鳴き声がします。静かな林。で
もよく見ると、ミノムシが、イラガの幼虫が、カマキリの卵が、春
のくるのを待っています。ロゼット葉のタンポポ、冬芽のコブシ、
みんな冬を乗り切るのに懸命です。

 ふゆ。聞いただけでも寒そうな響きです。
「広辞苑」をひいてみます。「一説に、寒さが威力を「ふる(振)
う」意。寒さに「ふる(震)う」意。また「ひゆ(冷)」「ふゆ(殖)」
の意からなどともいう」と出ています。

 殖(ふ)ゆとは、数が増すこと。かさが増すことで、寒さが増す
という意味であります。冬は寒さが威勢をふるい、寒さにふるえ、
寒さが増える時期なのです。

 ワンパターンながら、冬、という字について。冬、は「舟の点々
とった字と「ン」の合字なのだそうです。「舟の点々をとった字」
は「終」の古い文字で、ンは「氷」の本字。

つまり、「四時(しじ)盡(つ)きて氷る時の義」だとあります。
四時とは、春、夏、秋、冬のことで、一年中の四時です。

 また、冬は秋に次ぎ、春に先立つ季節で、普通12、1、2月の
3ヶ月。天文学上では、冬至12月22日頃)から春分(3月21日
頃)までをいっています
 それにしても、寒いねー。ブルルル。
                                  とよた時

………………………………………………

(まえがき)終わり