『新・ふるさとの神々』(上)加筆
第6章 動物の神

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▼02-02「蛙神」

【本文】
 カエルも神聖視される生き物です。死んだカエルをオオバコの葉
で包むと生き返るという言い伝えもあり、殺したカエルをオオバコ
でくるみ、土に埋めて歌いかける「カエルの葬式」という江戸時代
からの遊びもあったそうです。

 奈良県吉野町の金峰山神社では7月7日、カエルにされた若者が
僧侶のお経の力でもとの姿に戻る「蛙飛び」の行事もあります。

 カエルと雨とは関係が深く、カエルの形をした蛙石をさわると雨
が降るとか、外国でもカエルを殺すと雨が降るといわれます。屋敷
の中にすむヒキガエルを「ヌシ」として扱われます。また旧暦十月
に行われる、稲の収穫祭である刈り上げ祭りの行事は「蛙節供」と
もいわれ、田の神の使いのカエルが、もちを背負ってお供するなど
といわれます。

 静岡県JR身延線富士宮駅近くの蛙石神は、カエルそっくりの石
をまつった神社で、富士山からわき出る水を供え、その水をつける
といぼが取れるといいます。また、ほかの願いごとも霊験あらたか
とされ、かつては8月17日の祭日には、夜店が出るほどの賑わい
で厚く信仰されたという。

 この石はその昔、青く光りながら天空から落下したものといい、
眼病を患うものは、この神社にお参りし、湧き水で目を洗うと治る
といわれました。

 神奈川県小田原市には、蛙石明神がまつられています。これはカ
エルに似た形をした石で、かつて北条稲荷がここにまつられた時
(400年以前のことともいう)、小田原城の中の庭にあった持って
きたと伝えられています。

▼【参考文献】
・『宿なし百神』川口謙二著(東京美術刊)1979年(昭和54)
・『日本大百科全書4』(小学館)1985年(昭和60)

 

 

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