『新・ふるさとの神々』(上)加筆
第4章 天狗神
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▼04-12「奥多摩・御岳山の桜坊天狗」
【略文】
御岳山は奈良県吉野の金峰山にならって蔵王権現をまつった山。修
験道のメッカを模したここも当然天狗の山。その名を桜坊という。
天狗の腰かけ杉のわきから右へあがると奥の院。この平地に建って
いる祠には大天狗、小天狗、桜坊の三座がまつられているという。
・東京都奥多摩町
▼04-12「奥多摩・御岳山の桜坊天狗」
【本文】
東京都の奥座敷奥多摩地方の山・御岳山(みたけさん)は、日本武
尊(やまとたけるのみこと)が東征の帰り、岩蔵に武器を納めた山
だといいます。このあたりを「武蔵の国」と呼ぶのはそこからいて
いるそうです。ナルホド、ナルホド「武の蔵」ネ。
奈良時代の天平19年(741)になり、行基菩薩(ぎょうきぼさつ)
という偉いお坊さんが奈良県吉野の金峰山(きんぷせん)にならっ
て蔵王権現をまつりました。そのため、この山を「御岳」といった
のだといいます。岳は山のことですが、ごていねいにその下に山を
つけて「御岳山」になりました。
奈良の吉野金峰山は修験道のメッカです。そこには小桜坊(こざく
らぼう)という天狗がいることになっています。吉野金峰山を模し
たこの山にも当然天狗がすんでいることになっています。その名を
桜坊(さくらぼう)というそうです。
御岳山の天狗の腰かけ杉のわきから右へあがり、男具那社(おぐな
しゃ)の祠の裏を登ると奥の院に出ます。この20坪ばかりの平地に
建っている祠に大天狗、小天狗、桜坊の三座がまつられているとい
う。さすがに古い祠で、崩れそうで、近よりがたい威厳?を持って
います。
岩石園入り口にも天狗岩があり大天狗、小天狗像が建っています。
それにしても本家本元の天狗に小桜坊と「小」がついていて、分家
格である奥多摩御岳山の奥ノ院の天狗はただの桜坊なのはどうして
でしょうね。
▼御岳山奥之院【データ】
【所在地】
・東京都西多摩郡奥多摩町。JR青梅線御岳駅からバス・ケーブル
御岳山から歩いて1時間半で御岳山奥ノ院ピーク。写真測量による
標高点(1077m)。地形図に標高点の標高のみ記載あり。標高点よ
り北東方向59mに奥ノ院がある。
【ご利益】
・【武蔵御獄神社奥ノ院】:火難・盗難退除
【位置】
・標高点:北緯35度46分47.1秒、東経139度08分30.29秒
【地図】
・旧2万5千分の1地形図:「武蔵御岳(東京)」
▼【参考】
・『全国神社仏閣御利益小事典』現代神仏研究会編(燃焼社)1993
年(平成5)
・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)
・『図聚天狗列伝・東日本編』知切光歳(三樹書房)1977年(昭和5
2)
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