『新・ふるさとの神々』(上)加筆
第8章 草木の神

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▼08-04「松の神」

【本文】
 松は杉とならんで神を感じさせる木です。正月の神を迎える依代
(よりしろ)としての門松に利用したり、仙人になるための仙薬の
ひとつで、不老長寿の象徴として扱われます。中国では松は尊ばれ
て、「論語」にも夏王朝(かおうちょう)は、松を社の神木として
扱ったように書かれています。

 昔中国に丁固(ていこ)という人がいました。ある日、お腹に松
が生える夢を見ました。「これはわが身の出世を教示する夢だ。松
は「十八公」なり。18年たったら必ずや「公」となるであろう」
といっていたましたが、言葉どおりに本当になってしまいました。

 そこで十八(組み立てると木偏になる)に、公と書いた「松」の
字ができたという話が『史記』にあります。しかし、本当は、松の
字の旁(つくり)の公は、「筒抜ける」という意味で、葉の間がす
き間ができていることだという。あれれれ?。

 日本でも『万葉集』に「岩代(いはしろ)の浜松が枝(え)を引
き結び真幸(まさき)くあらばまたかへり見む」(巻二・有馬皇子
(ありまのみこ))と詠まれています。ほかにも「神さびて」とか
「千代松」などと、神格化された表現になっています。
 平安時代、暖かくなった春の初めの、「子(ね)の日遊び」には、
野原で遊んだついでに小さい松をとってきて、庭に植えていたりし
たそうです。それが正月の「門松」に発展したという説もあります。

 『常陸風土記』(香島郡条)の奈美の松・木津の松伝説は、時を
忘れて愛し合った二人が、交わったまま解けなくなり、そのまま松
になったという解釈があり、「連理の松」になったとする説もあり
ます。

 なぜマツというのかについては、マツは「待つ」で霜や雪の降る
っのを待ってなお、葉の色が変わらないというのが一つ。また、マ
ツは「持つ」で、昔から葉の色も不変なので「久しきを持つ」とい
う意味だという。さらに松は葉が木にまつわりついて生えるので、
「マツ葉木」だという説もあるそうです。

 このよう松は、長寿やめでたさを象徴する木とされ、また神聖な
ものとされて神霊が宿る木との信仰があります。各地の神社やお寺
の境内にも「影向(ようごう)の松」、「降り松」、「来迎の松」とよ
ばれるものがあります。京都亀岡市、大井川のほとりにある「神降
松」は、村になにか異変があるときは、神がここに降りてきて、お
告げをすると昔からいい伝えられています。

 このほかに松には天狗が腰かけるところとか、天狗が住んでいた
などの伝説のある「天狗松」もあります。さらに歴史上有名な人物
がからむ、「駒繋ぎ松」、「舟繋ぎ松」、「弓掛松」、「衣(きぬ)掛け
松」などがあります。これほどの松でもこれを嫌う神社もあります。
東京・府中市の大国魂(おおくにたま)神社では、境内には松の木
が一本もありません。正月の門松にも竹だけだというから徹底した
ものですよね。・マツ科マツ属植物。


▼【参考文献】
・『植物と伝説』松田修(明文堂)1935年(昭和10)
・『続・植物と神話』近藤米吉編著(雪華社)1976年(昭和51)
・「世界の植物」(朝日新聞社)
・『日本大百科全書22』(小学館)1990年(平成2)
・『花の民俗学』桜井満(雄山閣)1978年(昭和53)

 

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