『新・ふるさとの神々』(上)加筆
第5章 仙 人

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▼05-03「虫や蚊にまで自分の血を吸わせた陽勝仙人」

【本文】
「今ハ昔、陽勝トイフ人有リケリ。能登ノ国ノ人也」。『今昔物語集』
(巻第十三)の一文です。陽勝仙人は平安時代初期の坊さんで、日
本の仙人伝には必ず出てくる名。慈悲深く着るもののない人には自
らの着ているものを脱いで与え、食べるものがない人には自分のも
のを食べさせ、虫や蚊にまで自分の血を吸わせたというほどの人物
です。

 貞観11(869)年の生まれながら仙人だけに没した年は不明です。
母親が日光を呑む夢を見て懐妊したといわれ、生まれつき聡明で一
度聞いたことは忘れることはなかったという。11歳の時、比叡山
に登り空日律師に師事し勉学にいそしみ、ほとんど睡眠も取らずに
修行しました。

 のち、大和国(奈良県)の吉野に入り、夏は金峰山(きんぷせん)
に登ってこもり、冬は六田の牟田寺(むでんじ)に下って修行を続
け、その間穀物を絶ってアワ一粒を食べて過ごしていたという。80
余歳でついに仙人になり、冬でも布団なしで寝て、厚着もせず、お
香の煙に乗って空を飛べたという。

 その後、山に入ってしまいましたが、大峰山山上ヶ岳(1719m)
の信仰登山の基地、洞川集落の竜門寺や熊野社あたりに時々姿を
見せ、風のような早さで雲のように軽々と飛んでいたという。

 また陽勝仙人は神通力で父の臨終を知り、その家の屋根の上に
飛んできて法華経を読経しました。それを聞いた人が外へ出て屋
根の上を見ましたが姿はどこにも見えませんでした。そのころ比
叡山西塔で毎年8月に行われていた不断念仏には、陽勝仙人は必
ずどこからともやってきたという。

 そして、「不断念仏を修する時だけ、大空を焦がしている罪の業
火が晴れるので空から降りることができる」などといっていまし
たがそのうちその姿も見せなくなってしまったということです。
 

▼【参考文献】
・『今昔物語集』(巻第十三):古典文学全集『今昔物語集1』馬淵
和夫ほか校注・訳(小学館)1993年(平成5)
・『山岳宗教史研究叢書4・吉野・熊野信仰の研究』五来重編(名著
出版)1975年(昭和50)
・『仙人の研究』知切光歳著(大陸書房)1989年(昭和64・平成1)
・『日本伝奇伝説大事典』編者・乾勝己ほか(角川書店)1990年(平
成2)
・『本朝神仙伝』大江匡房著:日本古典全書『本朝神仙伝』川口久
雄校注(朝日新聞社)1971年(昭和46)

 

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