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メールマガジン山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】(04)

山旅通信【ひとり画展】画と文を毎月郵送)から
【とよだ 時】(山と田園の画文業・ゆ-もぁ漫画家・駄画師)

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▼山旅通信【ひとり画展】(はがき版)
「奥日光・白根山が暴れ山になった理由」

【序文】
奥日光にデンと構える白根山。その前にある前白根山は子どもだと
いう。しかし、白根山の妻は金精山に奪われたというからただごと
ではない。それ以来白根山は爆発をくり返す暴れ山になったという。
さらには峠に金精さまをまつる絶倫山。こんどは男体山の女房・女
峰山をねらっているという。
・栃木県日光市と群馬県片品村との境。

▼奥日光・白根山が暴れ山になった理由

【本文】 
 奥日光の白根山(しらねさん)は、標高2578mは、関東以北の
最高点を誇ります。南東直下に神秘な五色沼が水を湛え、さらにそ
の西に弥陀ヶ池がありシラネアオイが華麗な花を見せてくれます。
五色沼の東隣には前白根山がそびえ、その北側には金精山が控えて
います。

 白根山は一名奥白根山。湯元温泉から見て前にあるのが前白根山、
奥にあるのが奥白根山です。前白根山の頂上には前白根神社の小さ
な祠(祭神は味耜高彦根命・あじすきたかひこねのみこと・『古事
記』『日本書紀』や『風土記』にでてくる神で大国主命の子。『古事
記』では阿遅志貴高日子根神と記す)がまつられています。

 またその奥の奥白根山の山頂には、いまは奥白根神社がまつられ
祠が建っています。祭神は大己貴命(おおなむちのみこと・大国主
命・大黒さま)だそうです。しかし江戸時代までは白根権現だった
という(「日光山堂社建立旧記」元禄10年・1679年成立)という。

 権現とは、仏や菩薩がモロモロの生物を救うために、神に化身し
て仮(権)にこの世に現れるという本地垂迹説(ほんじすいじゃく
せつ)の権現なので当然修験道の山(奥白根山は、日光男体山の奥
の院という)です。白根権現の本地仏は十一面観音なのだそうです。

 日光修験は、鎌倉末期から南北朝にかけてとくに盛んになり、春
の峰、夏の峰、冬の峰と秋の五禅頂を合わせた「三峰五禅頂」の峰
入り修行が行われ、奥白根山も夏の奥駈け道場の場になっていたそ
うです。

 かつて白根山は上州側からは荒山と呼ばれていたといいます。庶
民の白根山への信仰登山道は、いまと違って群馬県側が表口だった
というのです。丸沼方面から登る人が圧倒的に多かったため、いま
でも遠鳥居、不動尊、六地蔵、大日如来などの地名が残っています。

 当時、上州側の村人は産土神(うぶすながみ)として山頂に荒山
権現をまつり、各家ごとに特産の新繭からとった糸を奉納するため
に登山したということです。

 突然ですが、日光の男体山の周辺の山々は一大ファミリーだとい
う説があります。男体山がお父さんで女峰山がお母さん。その間の
大真名子山、小真名子山は子どもの姉妹、太郎山は長男だという。
そのまわりの山王帽子山、赤薙山、帝釈山、三岳なども一族なのだ
そうです。

 白根山は男体山と兄弟だとか女峰山の兄妹ともいわれ、太郎山の
叔父さんだという。前白根山(まえしらねさん)は白根山の子ども
らしい。

 しかし白根山は妻(どの山か不明)を北方にある金精山に奪われ
たというのですから大変です。それ以来、白根山はやけのやんぱち
になり、すっかり暴れ山になったという。

 白根山は約5300 年前以降に、周辺に堆積物を残すような噴火が
少なくとも4回以上発生しているといいます。記録に残るものでも
1649(慶安5)年、1872(明治5)年、1873(明治6)年、1889(明
治22)年、1890(明治23)年、1952(昭和27)年、1993(平成5)
年と暴れ放題。五色沼や弥陀ヶ原は白根山の火口湖なのだそうです。

 さらに問題は金精山(こんせいさん)です。金精山は峠に金精神
社をまつってあるほどの絶倫山ですからたまりません。白根山の女
房を横取りしたあと、こんどは男体山の女房・女峰山をねらってい
るらしいといううわさがあります。お〜い、男体山よ、気をつけた
方がいいぞ。

▼日光白根山【データ】
【所在地】
・栃木県日光市と群馬県片品村との境。JR日光線日光駅の西北西
24キロ。JR駅から日光駅からバス、湯元から歩いて4時間で日
光白根山。標高点(2578m)がある。
【位置】
・標高点:北緯36度47分54.91秒、東経139度22分33.25秒
【地図】
・2万5千分の1地形図「丸沼(日光)」or「男体山(日光)」(2図
葉名と重なる)
【参考文献】
・『角川日本地名大辞典9・栃木県』大野雅美ほか編(角川書店)1984
年(昭和59)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16
・『日本歴史地名大系・栃木県』(平凡社)1988年(昭和63)
・『名山の民俗史』高橋千劔破(河出書房新社)2009年(平成21)



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