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▼山里はいかい本文のページ)(09)
 
【とよだ時】(豊田時男

▼山里のへんな神さま荒ぶる半神半鬼・夜叉神」

【説明略文】
夜叉(やしゃ)。なんとも不気味な響きです。
古代インドのベーダ聖典に人を害する鬼神と
して登場。半神半鬼の性格を持ち、醜怪な姿
をしており、人の肉を食うとされています。
南アルプスの入り口・夜叉神峠は、昔、御勅
使川源流に荒ぶる神がおり、悪疫、洪水、暴
風雨と暴れ放題。困った村人がこの峠にホコ
ラを建てしずめたという。

【本文】は下記をどうぞ。

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(長文です。拾い読みしてください)
▼荒ぶる半神半鬼・夜叉神

【説明本文】
 夜叉。なんとも不気味な響きです。ヤシャ
は、サンスクリット語のヤクシャ、パーリ語
のヤッカの音写だそうです。もとは「光のよ
うに速い者」とか「祀(まつ)られる者」を
意味しており、超自然的神聖な存在だったと
いいます。時には羅刹(らせつ=インド神話
にあらわれる悪鬼)とも同一視されます。

 夜叉は、古代インドのヴェータ聖典に初め
て人を害する鬼神として登場する名前で、醜
怪な姿をしており人の肉を食うとされていま
す。のち、仏教の八部衆「天竜八部衆=仏法
を守護する天・竜・夜叉・闥乾波(けんだつ
ば)(「だつ」は門構えのなかに達)・阿修羅
(あしゅら)・迦楼羅(かるら)・緊那羅(き
んなら)・摩?羅伽(まごらか)(「ご」は目
偏に侯)の八部の衆類」に入り、毘沙門天(び
しゃもんてん)の従者になったといいます。

 しかしその激しい性格は変わらず、半神半
鬼の性格で神通変化の力をもっているといい
ます。そのため、人を助け利益を与え仏法を
守護する半面、信仰のない人間には害を加え
るような凶暴さをあわせもつたたり神だとい
います。とくに女夜叉(夜叉女・ヤクシニー)
は人間の肉や血を食う凶悪な性質をもつと百
科事典にあります。あまり付き合いたくない
神様ではあります。

 南アルプスの入り口、その名も山梨県南ア
ルプス市に夜叉神峠(1770m)があります。
その昔、甲斐の国を流れる釜無川の支流、水
出川(いまの御勅使川・みだいがわ)の源流
に猛々しい神が棲んでいました。身の丈20
数m、眼はらんらんと輝き、暴風雨を自在に
あやつり、洪水を起こすわ、悪疫をばらまく
わのし放題。人々はこの神を夜叉神と呼びま
した。

 平安時代のはじめ、天長2(825)年の洪
水は下流の釜無川、甲府盆地を越えて一宮ま
で被害を与えました。見かねた甲斐の国造(く
にのみやつこ)・文屋の秋津は、この惨状を
朝廷に奏上。淳和天皇は心を痛め勅使を送り、
水難防止除けを祈ったといいます。そのため、
水出川は御勅使川と名を変えました。

 これとは別に村人たちは、御勅使渓谷を一
望できるこの峠に石の祠を建て、念入りに祭
祀しました。それ以来、夜叉神のたたりはぴ
たりとやみ、今は豊作の神、縁結びの神とし
て、夜叉神峠小屋の北側に祭られています。

 またまたこんな話もあります。夜叉神が、
米子という村の娘を掠奪し悪行のし放題。そ
こへ坂上田村麻呂がやってきて夜叉神を退治
します。夜叉神は空を飛び男鹿の山に逃げま
したが米子は、田村麻呂の矢に当たって死ん
でしまいます。村人は娘を厚く葬り米子の名
をとりむらの名を「女米鬼」としたという伝
説が秋田県雄和町字女米木(女米鬼)にあり
ます。



▼【参考文献】
・『甲斐国志」(松平定能(まさ)編集)1814
(文化11年):(「大日本地誌大系」(雄山閣)
1973年(昭和48)
・『角川日本地名大辞典19・山梨県」磯貝正
義ほか編(角川書店)1984年(昭和59)
・『郷土玩具・紙』牧野玩太郎ほか(読売新
聞社)1973年(昭和48)
・『世界大百科事典30』(平凡社)
・『日本の民話7・妖怪と人間』宮本常一ほ
か監修・松谷みよ子ほか編(角川書店)1973
年(昭和48)
・『日本伝説大系2・中奥羽編』(岩手、秋田、
宮城)野村純一編(みずうみ書房)1985年
(昭和60)
・『日本未確認生物事典』笹間良彦著(柏美
術出版)1994年(平成6)
・「夜叉神峠の由来」夜叉神峠小屋パンフ 



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