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▼山里はいかい(本文のページ)(02)
【とよだ時】(豊田時男)
▼へんな神さま「いぼの神」
【簡略説明】
よく見かけるのが「いぼ地蔵」です。で
きているいぼの数だけ石を備えて、祈願
すればなおるといいます。さらにここに
供えてあった石を借りてきて、自分のい
ぼをなでると治るいうのです。治ったら
石の数を増やしてお返しします。イボイ
ボに連想される「蛸(たこ)薬師」のお
堂の境内の石を拾ってきていぼをなでる
と、いぼがポロリと落ちるともいいます。
【本文】は下記をどうぞ。
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(長文です。拾い読みしてください)
▼へんな神さま「いぼの神」
【説明本文】
いぼとは疣(いぼ)のこと。手や足に
ポツンと角質化してできるあれです。小
さいころよくできたもの。イノチにどう
のこうのというのではありませんが、け
っこう気になります。早くとってすっき
りしたいとは思いまが、だからといって
医者で手術をするには面倒くさい。やっ
かいなものです。
「いぼ」は医学的には3種に分けられ
るそうです。第1は「尋常性いぼ」。手
背、足背、顔などによくできて、豆のよ
うに盛り上がり、灰白色または灰かっ色
で、若年者に発生するといいます。30
歳以後にできるのはまれだそうです。
第2は「青年性扁平いぼ」です。名の
ように青年に発生するもので、表面は平
滑にして皮膚色で柔らかく、形は円また
は多角形をしています。
第3は「老人性いぼ」です。アズキ大
の平べったく高まって斑絞が多く、主に
背なかや顔にできます。50歳以上の男
性で、屋外で働く人に多いといいます。
この3種のいぼの他に、「伝染性軟属腫
(しゅ)」、俗に「みずいぼ」と呼ばれ
るいぼもあり、多彩ではあります。
しかし、いずれにしても痛くもかゆく
もなく、生命にかかわるものでもない。
ましてや放っておいても自然に治るもの
だし、とはいってもおおいに気になるし、
大いに違和感があります。
こんな時、昔の人は神さま(いぼ神)
に願をかけて治そうとしました。いぼ神
は「いぼ取り神」、「えぼ神」、「いぼな
おし神」などと呼ばれ信仰されます。こ
の神はこれといって統一された神はおら
ず、地方によって信仰対象も変わってく
るようです。
よく見かけるのが「いぼ地蔵」です。
できているいぼの数だけ石を備えて、祈
願すればなおるというのです。さらにい
ぼ地蔵に供えてあった石を借りてきて、
自分のいぼをなでると治るいうのです。
治ったら石の数を増やしてお返ししま
す。こどもにできやすい「いぼ」。そん
なところから、お地蔵さんはこどもを救
済する仏さまとする地蔵信仰に由来した
ものだそうです。
イボといえば、タコのイボイボ。そん
なことから、たこ薬師の境内の石を拾っ
てなでるとか、やはりイボイボのあるヒ
キガエルからの連想で……ご神体をカエ
ルそっくりの「蛙石」とし、そこを流れ
る水で洗うとか、いぼ石をまつってそれ
で患部をこするなどいろいろな形があり
ます。
こんな「こじつけ治療法」もあります。
イボイボに連想される「蛸(たこ)薬師」
という仏さまがあります。そのお堂の境
内の石を拾ってきていぼをなでると、い
ぼがポロリと落ちるとする地方もありま
す。
また、「ひき蛙」のいぼに関連して、
いぼ取り神のご神体を蛙石とする所もあ
ります。その蛙石のある所を流れてくる
水でいぼを洗うと、いぼが治るといわれ
る地方もあります。
一方、荒なわで道祖神をしばり、いぼ
がとれるとなわをほどいて、願ほどきす
るものもあります。神奈川県山北町の丹
沢湖からトンネル上の三神峠に登ると、
草の中に仏像が3体ならんでいます。
右側の石像は前が割れている神像が大
道祖神(オオザイノカミ)と呼ばれるい
ぼ取りに効験ある道祖神だといいます。
この神に願をかけるには神像を荒縄で
しばりあげ、イボがとれるとほどくとい
うのです。つまり神さまを脅かすわけで
す。ここは、いまでは人の通りもなく、
せいぜい大野山(724m)からのハイカ
ーぐらいですっかりさびれています。
下記は各地のいぼ神さまです。
★「いぼ水神社」(大阪):その昔、神
功皇后が三韓遠征の際、このご香水をつ
けると顔一面にいぼをできたが帰りにま
たこの水で顔を洗ったところ、元に戻っ
たといういい伝えがあります。
★「いぼの神さま」(長崎県):この道
祖神にお茶をあげ、いぼがとれるように
祈ります。
★「いぼとり神」(神奈川県):道祖神
を荒縄でしばり、いぼがとれるとはずし
て願ほどきをするそうです。
★「いぼとり地蔵」(千葉県):供えて
ある塩でいぼをなで、なおるとお礼にま
た塩をあげます。線香の灰で治るところ
もあるそうです。
▼【参考文献】
・『祖神・守護神』川口謙二著(東京美
術刊)1979年(昭和54)
・『民間信仰辞典』桜井徳太郎編(東京
堂出版)1984年(昭和59)
・『宿なし百神』川口謙二著(東京美術
刊)1979年(昭和54)
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