▼山のまん画ばなし【本文】のページ10

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▼房総・千倉の料理の神

【略文】
料理の神の高家神社。境内に料理評論家の包丁塚や、奉納札には地
元料理飲食店組合、旅館、包丁のハガネ会社、刃物製作会社、調理
師会、日本料理研究会、調理師学校の文字がならぶ。本殿内陣には
醤油樽がごろり。「日本書記」にでてくる磐鹿六雁命を祭つている。
・千葉県南房総市。

※ご用とお急ぎでない方は、【本文】もどうぞ。

【本文】

 神サマにもいろいろ変わったものがありますが、これもめずらし
い料理の神社が房総半島南端千倉町(いまは南房総市)にある高家
(たかべ)神社。境内には包丁塚もあり、著名な食味評論家などの
名が彫られています。


 また料理店や旅館の板前たちによるものと思われる「包丁奉納殿」
の扁額、奉納札には地元料理飲食店組合、各旅館包丁に関係のある
ハガネ会社、刃物の製作会社、その他調理師会、日本料理研究会、
福島県技術調理連合会、三重県調理師学校など全国的です。なかで
も本殿内陣にはヒゲタ醤油、ヤマサ醤油から奉納された醤油樽がご
ろりと並んでいるのが面白い。


 なぜここが料理の神社かというと、祭られている神サマが膳部と
して天皇につかえた磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)だから
という。磐鹿六雁命は『日本書紀』に出てくる神。崇神天皇(第10
代天皇・『日本書紀』では在位97B.C.〜30B.C.『世界大百科事
典・21』天皇p538)のころの四道将軍(天皇が地方評定のため北陸
・東海・西道・丹波の四道に派遣した皇族)のひとりの、大彦命(お
おびこのみこと)の孫だといわれています。


 「日本書紀」(景行天皇五十三年の条)に、天皇の東国巡幸の際、
上総の国に来たとき磐鹿六雁命が白いハマグリをとってなますを作
り天皇に勧めたところ大変喜び、膳ノ大伴部(かしわでのおおとも
べ:食事に奉仕する部族の姓)の称号をもらい、膳部として仕える
よう命じられたという。


 そのため、祭神の磐鹿六雁命はハマグリとカツオを持った像とし
て描かれています。その子孫が代々内膳司に任ぜられている高橋氏。
磐鹿六雁命は板前・料理の祖神として、高橋氏の氏神になっていま
す。高家神社は、東側の太平洋を前にした街道からすぐのところ。
海の幸を多く材料とする料理の神にふさわしい形で建っています。


 ある年の11月、千葉県安房地方の伝説めぐりをしました。館山市
に住む岳友が車で案内をしてくれるという。有り難いとばかりお願
いしました。鋸山のふもとにある鉄尊さまを皮切りに小松寺など数
々の伝説の宝庫をめぐりで大いなる収穫です。


 そんな時、千倉でやたらに車が停まっている場所がありました。
人通りも多い。なんときょうは高家神社の祭日だったのです。毎年
10月17日と11月23日に包丁式が執り行われるというのです。なんと
いう偶然。


 あふれんばかりの人波につま先立ちをしながら四條流石井派の
「包丁儀式」なる手を触れずに魚を調理する神事。前の人の頭と肩
の間からやぐらの舞台の上の儀式。夕陽に照らされながら顔はほて
り、頭が痛くなりながらなんとか見終えることができました。



●高家神社【データ】
▼【所在地】
・千葉県南房総市千倉町。JR内房線千倉駅から歩いて30分で高
家(たかべ)神社。地形図に神社名のみ記載。
▼【ご利益】
・【高家神社】:料理上達、家内安全・交通安全、健康祈願・病気平
癒、商売繁盛・千客万来、厄除け・厄払い、開運招福・諸願成就
▼【位置】
・高家神社:北緯34度57分44.92秒、東経139度56分58.65秒
▼【地図】
・2万5千分の1地形図:「千倉(横須賀)」(
▼【山行】
・某年11月23日(日曜日・晴れ)



▼【参考】
・『祖神・守護神』川口謙二(東京美術)1979年(昭和54)
・「高家神社パンフレット」(高家神社奉賛会)
・「日本書紀・巻第七」景行天皇:「岩波文庫日本書紀・2」坂本太
郎ほか校注(岩波書店)1996年(平成8)


▼この話は山の伝承神話 いらすと紀行 から引用しました。


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