▼山の伝承神話【本文】のページ01
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▼北アルプス奧黒部・平ノ渡シ

【説明本文】

 北アルプス黒部立山アルペンルート長野県側の扇沢から、雪渓を
登り針ノ木峠に出ます。ここを越え、富山県側針ノ木谷を下ると黒
部ダム上流の黒部の平(たいら)というところに着きます。


 ここは昔、立山温泉に出る有料道路だったといいます。しかし、
通行が少なく、冬の道路崩壊が激しく改修が不能になり、1882(明
治15)年についに放棄したという話もあります。


 また、ここは天正12年(1584)12月、織田信長の屬将だった越
中の佐々成政が、羽柴秀吉・上杉景勝らの攻撃を避けるため、近江
浜松に居城する徳川家康と手を結ぼうとして、この平(だいら)、
針ノ木峠を経由して越中と遠江間を往復したことが『当代記』にあ
り、「成政のざら峠越え」として有名です。


(『当代記』は、江戸時代初期の寛永年間(1624年〜1644年)の
本で、安土桃山時代から江戸初期の社会・歴史状況を編年風に記し
た記録資料)。


 ある年の夏、針ノ木雪渓を登り、峠にテントを張りました。明日
は針ノ木谷を下ります。雨が降り出してきました。テント場代を集
めに来た山小屋の従業員の話では、最近谷に熊が住みついているか
ら気をつけるようにとのこと。


 翌日谷を下ってみるとなるほど立山温泉への針ノ木新道時代のな
ごりか、ふたまたの「カワダの牛小屋あと」や、所々に「牛道」だ
ったのだろう、広い平地などがあります。


 道は不明瞭で、目印のテープを探すのに行ったり来たりと時間が
かかります。やっとかすかな踏みあとを見つけ、崖をへずり岩を飛
び移り、やっと広場に出ました。その時、気を許したか、浮き石に
乗って転倒してしまいました。


 見ると右手の薬指の一番先の関節のところが、逆方向に曲がって
います。これはエライことになった。どっちへ下りるにも町に出る
には何日もかかるところ。痛くはないので指で揉みながら歩きます。
薬指を引っ張っては戻しまた揉みます。


 やがて着いた平ノ渡シ場。避難小屋があります。黒部ダムができ
る前にあった平(だいら)ノ小屋は、黒部湖に水没、いまは新しい
平ノ小屋が対岸に建っています。きょうはこの避難小屋に泊まり、
あすは奥黒部ヒュッテから読売新道へ向かおう。


 船着き場には時刻表があります。運航期間は6月20日から10月31
日までとあり、料金は無料。日に5往復もするようです。ちょうど
渡し船の発着時間。奥黒部ヒュッテから来た登山者が到着、船を待
ちます。


 音もなくあらわれ乗り場に着いた渡し船。時間が止まっているよ
うなこんな山奥でも時刻表通りに運航されているが不思議に思えて
きます。乗員が2,3人、次々に客が乗り込んでいきます。「あん
たは乗らないの?」。「今夜は避難小屋に泊まるつもりです」とお断
りしました。


 指のけがも少し落ち着きいてきました。幸い熊には出会いません
でしたが、このときの後遺症で薬指が変形してしまいました。いま
は一般コースになっているようです。


▼平ノ渡【データ】
★【所在地】
・【針ノ木峠経由平ノ渡場ルート】・富山県中新川郡立山町。JR大
糸線信濃大町駅からバス扇沢下車。針ノ木峠、針ノ木谷経由11時
間で平ノ渡場。地形図に平ノ渡シ場と渡し船運航路の破線と避難小
屋の文字を記載。対岸に平ノ小屋あり。

・【黒部ダム経由平ノ渡場ルート】・富山県中新川郡立山町。JR大
糸線信濃大町駅からバス扇沢下車。黒部ダムから歩いて4時間で平
ノ渡場。地形図に平ノ渡シ場と渡し船運航路の破線と避難小屋の文
字を記載。対岸に平ノ小屋あり。

★【位置】
・平ノ渡場:北緯36度31分34.73秒、東経137度38分34.35秒

★【地図】
・2万5千分の1地形図「黒部湖(高山)」

▼【山行】
・某年8月11日(月曜日・くもり雨)


▼【参考文献】
・『角川日本地名大辞典20・長野県の地名』市川健夫ほか編(角川
書店)1990年(平成2)
・『秘録・北アルプス物語』朝日新聞松本支局(郷土出版)1982年
(昭和57)
・『信州山岳百科・1』(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・『信州百名山』清水栄一(桐原書店)1990年(平成2)
・『富山県山名録』橋本廣ほか(桂書房)2001年(平成13)
・『日本歴史地名大系16・富山県の地名』高瀬重雄ほか(平凡社)
1994年(平成6)
・『日本歴史地名大系20・長野県の地名』(平凡社)1990年(平成
2)


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山旅通信【ひとり画っ展】発行
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山旅【画っ展の会】
from 20/10/2000



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