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山旅伝説伝承【ひとり画展】03 【とよだ 時】

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▼山旅【画っ展】986号「御坂山塊・蛾ヶ岳(ひるがたけ)」

【簡略文】
御坂山系の蛾ヶ岳は甲斐武田の居城のある甲府市から見た時、山の
真上に太陽が来る時が正午であったことから「昼ヶ岳」ともいった
という。また、山頂の北面にヤマヒルが多くいたので「蛭ヶ岳」と
もいいました。さらに中国三大霊山峨(蛾)眉山に似ているので「峨
眉の山」(山偏)ともいったという。
・山梨県市川三郷町と身延町との境。

▼山旅【画っ展】986号「御坂山塊・蛾ヶ岳(ひるがたけ)」

・【説明本文】
 山梨県甲府盆地と富士山北麓との間、東西に延びる御坂山系の西
の端に蛾ヶ岳という山があります。虫偏に我と書いて蛾(ひる)と
読むそうです。この山に立つと、甲府盆地の向こうに奥秩父や、八
ヶ岳が望め、また南アルプス、南に富士山も素晴らしい。中腹には
「富士八湖」のひとつ、四尾連湖(しびれこ)もあって、周辺は史
跡もたくさんあります。この山は蛭ヶ岳、昼ヶ岳、蛾眉の山ともい
うそうです。

 江戸時代後期の甲斐国の地誌『甲斐国志』巻之32には「昼ヶ岳」
とあり、「是ノ山府ノ正南ニ聳エテ午時ニ日当中スル故ニ停午(マ
ヒル)ノ義(校者曰クマヒルハ亭午ナリ停午ハ誤)ヲ以テ名ヅクト
云フ或ハ山中ニ草蛭多シ故ニ名ヅクトモ又蜀ノ蛾(虫偏)眉山ニ擬
シテ名付クトモ云ヘリ(蛾眉山ハ在二成都ノ南一 蜀都ノ賦ニ云フ抗
ニ蛾眉之重阻一)中郡ノ人常ニ此ノ山ヲ望ミテ晴雨ヲ卜(ボク)ス


 …夏月山上ニ雲ヲ起セバ必ズ雷雨スト云フ四尾連(シビレ)湖ヨ
リ雨ヲ発スト又山南遙カニ駿海ニ向フ故ニ海上波静マリテ晴レント
スル時ハ山上先ヅ雲収マリテ天明ラカ也中郡卑下ノ地ヨリ望メバ此
ノ山雲ヲ吐納(とのう・体内の古い気を吐き体外の新しい気を取り
入れる)スル如シ実ニ州ノ南鎮ナリ。」とあります。

 武田信虎の居城がある甲府市の要害城から見た時、この山の真上
に太陽が来る時が正午であったことから「昼ヶ岳」ともいったとい
うのです。また、山頂の北面にヤマヒル(山蛭)が多くいたことか
ら、「蛭ヶ岳」ともいわれたという。さらに見る場所によっては、
中国の峨(蛾)眉山に似ていることから「峨眉の山」(山偏)とも
いわれているというのです。

 峨眉の山は中国三大霊山(五台山、天台山、峨眉山)のひとつ。
また美人を形容する虫偏の「蛾眉」は、蚕のガの触覚のように細い
眉毛がその語源であるといいます。地元山梨県立市川高校の校歌は、
「蛾(虫偏)眉の山 そそりたてるを…」で始まり、いまでも地元
では蛾眉の山と呼ぶ人が多いそうです。

 蛾ヶ岳は『甲斐国志』にもあるとおり、山頂に雲が起これば必ず
雷雨となり、駿河の海の波が鎮まり晴れる時には、この山の雲が最
初に消えるという。そんなことから、昔は地元中郡の人たちは、い
つもこの山をみて天気を占ったという。この山は、山雲を吐納(古
い気を吐き、新しい気を取り入れる)ようであり、蛾(ひる)ヶ岳
は実に「南の鎮め」ともいっています。

 一方、『甲斐伝説集』という本では、「この山が甲府城外堀の水に
影を写すのを見て、正午であることを知り、巡邏(じゅんら・見回
り)の役人は、合図の太鼓を打ったので晝ヶ岳(ひるがたけ)とい
うようになった。一説には昔、四尾連湖に雌雄の大きな蛭(ヒル)
がすんでいて、村民の生血を吸い、危害を与えたから、蛭ヶ岳と呼
んだといい、また一説には蜀の峨眉山に擬して名づけたともいわれ
(峨と蛾の字相違す)、中郡の人たちは常にこの山を望んで晴雨を
卜するという。(『西八代郡誌』)」と、似通った記述をしています。

 この山の山頂から東へむかって太平山、三方分山から精進湖に抜
けるルートは、昔は富士登山道にも通じていたという。この山の南
面には、秘境といわれるいくつかの集落が点在、第2次世界大戦中
は、山頂直下まで開拓が行われていたそうですが、いまは記念碑だ
けが残っています。

 ついでながら山頂西側の周囲2キロの四尾連湖は、竜がすんでい
たという伝説があることから、湖のほとりには竜神堂も建っていま
す。近くには子安神社や、天然記念物の大ヒノキもあります。静寂
な四尾連湖は、水が透明で冷たく、手がしびれるようなのでこの名
が生まれたという。戦国時代の狼煙(のろし)場の跡もあり、北面
一帯は史跡も多い。湖の西には人工降雨実験施設があります。周辺
は山梨県立自然公園に指定されています。

▼蛾(ひる)ヶ岳(御坂山塊)【データ】
【所在地】
・山梨県西八代郡市川三郷町(旧市川大門町、三珠町)と、南巨摩
郡身延町(旧西八代郡下部町)にまたがっている。身延線市川大門
駅の南東6キロ。身延線市川大門駅から4時間で蛭ヶ岳。三等三角
点(1278.99m)がある。
【位置】
・蛾ヶ岳:北緯 35度31分8.36秒、東経138度32分8.57秒
【地図】
・2万5千分の1地形図:市川大門

▼【参考文献】
・『甲斐国志』松平定能(まさ)編集の甲斐国四郡の地誌。江戸時
代後期の1814(文化11年)完成:『甲斐国志・第2巻』(雄山閣出
版)1982年(昭和57)(『大日本地誌大系・第45巻』)に収納
・『甲斐伝説集』(甲斐民俗叢書2)土橋里木著(山梨民俗の会)1953
年(昭和28)
・『角川日本地名大辞典19・山梨』竹内理三編(角川書店)1991年
(平成3)
・『新日本山岳誌』日本山岳会(ナカニシヤ出版)2005年(平成17)
・『日本山岳ルーツ大辞典』村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成16)

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・酒を飲むのは時間の無駄、飲まないのは人生の無駄。
・立って半畳、寝て一畳、酒は呑んでも二合半。