『いなかの神さま仏さま』(上)
第2章 山の妖怪

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02-15「雪 女」

【序文】(140字)
雪女は雪の夜に出るという。雪からの印象から肌が白く、または白
衣を着ているなどの言い伝えが多い。その名前は地方によっていろ
いろで、雪女郎、雪女御などはなかなか艶っぽいですが、雪おんば、
雪降りばばあともいう地方があるといいます。雪女 音なく香なく
過ぎしなり (三谷 昭)

02-15「雪 女」

【本文】
 雪女は雪の夜に出るという。雪からの印象から肌が白く、または
白衣を着ているなどの言い伝えが多い。その名前は地方によってい
ろいろで、雪女郎、雪女御などはなかなか艶っぽいですが、雪おん
ば、雪降りばばあともいう地方があるといいます。

 長野県伊那谷では山姥をヤマオンバ、雨の降る夜に出るのをアメ
オンバ、雪の夜に出る妖怪をユキオンバというそうです。このよう
妖怪が話題になったのは室町時代からだというからかなり古い。雪
の降る夜出るというほかに、岩手県遠野地方では小正月(1月15
日)の夜や、冬の満月の夜に子どもたちをたくさんつれて出てくる
とされています。

 雪女は夜、山小屋に来て水を欲しがるが水をくれてはいけないと
され、熱いお茶を出すものだといいます。そういえば鳥取県では白
弊を振りながら淡雪に載って出てきて「氷ごせ、湯ごせ」というと
いいます。水をかけると雪女は大きくなり、お湯をかけるとたちま
ち消えてしまうという。

 また、青森県津軽地方の雪女は、正月の元旦に降りてきて最初の
卯(う)(暦の)の日に帰っていくといいます。この女のいる間は、
1日あたり33石分の稲の花がしぼんでしまうといわれ、初卯の日
が遅い年はその間の分だけ不作になるといっています。正月神(年
神)信仰につながるものなのだそうです。

 そのほか、雪女に赤子を抱いてくれと頼まれ、抱いてやると大力
を授かるとか、反対に殺されてしまう話や、吹雪の夜に一晩宿を貸
してやると、翌朝白衣の中に黄金があったという話もあります。

 雪女は雪女郎とも呼びます。雪女郎おそろし 父の恋恐ろし(中
村草田男)という句もあります。江戸小噺にはこんなのもあるそう
です。雪の中を歩いてきた客、「えらく冷えるナ。近来にない大雪
じゃ。さっき雪女郎に出会った」。「エッ、そりゃさぞたまげたろう」。
「ゼーンゼン。見たところ、ただの黒目ばっかりだったわい」。真
っ白な雪の中に立つ、白装束の雪女を見る時、見えるのはたしかに
黒目ばかりではあります。

 川柳で、「化物でいっち目立つは雪女」なんてのもあります。こ
の雪女にとりつかれると、助かったとしてもあとでたたりがあると
いうから気をつけましょう。しかし、北国の雪女は、肌が白くてつ
ややかで、冬の夜でも素っ裸で寝るという。しっとりとして男をし
ん底からあたためてくれるそうですよ〜。

▼【参考文献】
・『日本未確認生物事典』笹間良彦著(柏美術出版)1994年(平成
6)
・『にっぽん妖怪地図』千葉幹夫ほか編(角川書店)1996年(平成8)
・『民間信仰辞典』桜井徳太郎編(東京堂出版)1984年(昭和59)

 

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