『いなかの神さま仏さま』(上)
第2章 山の妖怪

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▼02-07「手長神・足長神

【序文】(140字)

手長・足長手が異様に長い手長と、足が長い足長という妖怪です。
もともとは中国の外海(四海)に住むという異常人または神仙。日
本に入ってくると名前も手長足長となり、平安宮内裏・清涼殿荒海
の障子に魚を捕る姿で描かれたりして、女房たちを大いに怖がらせ
たといいます。

▼02-07「手長神神・足長

【本文】
 手長・足長というのも各地の伝説によく出てきます。これは手が
異様に長い手長と、足が長い足長という妖怪ですが、神としてもま
つられています。もともとは中国の外海(四海)に住むという異常
人または神仙で、長臂人長股人の名で中国の古代地理書である「山
海経(さんかいきょう)」という本に出てきます。中国では仙人に
もなっているんですね。

 これが日本に入ってくると名前も手長足長となり、平安宮内裏・
清涼殿荒海の障子に魚を捕る姿で描かれたりして、女房たちを大い
に怖がらせたといいます。しかし手長・足長は不老長寿の神仙に比
定されており、障子に書くということは天皇の長寿、朝廷が長く続
くことを願うあらわれなのだそうです。

 その姿を見ると足の長い足長が、手の長い手長を背負った図で描
かれています。この二人は夫婦だとされる場合もあります。長野県
諏訪市茶臼山に手長神社、同市四賀普門寺に足長神社があります。

 伝説によると手長を背負った足長がそのまま諏訪湖に入って、手
長が魚を捕まえたのだそうです。この2人は手長神社、足長神社そ
れぞれにまつられています。

 手長神社・足長神社にまつられる神は、手長彦神あるいは手名椎
命(てなづちのみこと)・足長彦神あるいは足名椎命(あしなづち
のみこと)という神。「古事記」(八俣の大蛇の項)では夫の足名椎
(あしなづち)・妻の手名椎(てなづち)と夫婦神になっています。

『日本書紀』(巻第一)ででも夫・脚摩乳命(あしなづちのみこと)、
妻・手摩乳命(てなづちのみこと)と書かれています。埼玉県川越市
の川越氷川神社は手摩乳神、脚摩乳神をまつる神社です。

▼【参考文献】
・『神々の系図・正』川口謙二(東京美術)1981年(昭和56)
・『日本大百科全書16』(小学館)1987年(昭和62):(p184・諏訪
市手長神社)
・『日本伝奇伝説大事典』編者・乾勝己ほか(角川書店)1990年(平
成2)
・『古事記』(上つ記)(新潮日本古典集成)西宮一臣校注(新潮社)
2005年(平成17)
・『日本書紀・巻第一』神代(上):『岩波文庫日本書紀・一』坂本
太郎ほか校注(岩波書店)1996年(平成8)
・『ニッポン神さま図鑑』宗教民俗研究所編著(はまの出版)1996
(平成8)年

 

 

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