山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

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▼750号 「奈良・大峰山の鬼たち」

【概略】
役ノ行者には必ず鬼が2匹ついています。前鬼後鬼といい夫婦鬼と
も伝えています。夫鬼が酒を飲み赤い目をして歌うのを、女房鬼が
黄色い口を開けて笑っている姿をあらわしているのだといいます。
奈良県吉野から熊野本宮までの大峰山ではふつうに見られます。

▼750号 「奈良・大峰山の鬼たち」

【本文】
▼山旅通信【ひとり画展】750号(07年3月)
【本文】
役ノ行者といえば修験道の祖です。役ノ行者小角(おづぬ)といい、
本名役ノ小角(おづぬ)。役ノ公(えんのきみ)、役ノ優婆塞(えん
のうばそく)、小角仙人などとも呼ばれます。

各地の山々や、神社などに石像が見られます。やせた体に高げた、
杖を持ちこわ−い顔をしてにらんでいるあれです。役ノ行者の像の
かたわらには必ずといっていいほど2匹の鬼がついています。

この鬼たちは前鬼(ぜんき)と後鬼(ごき)というそうです。前鬼
は赤目で斧を持ち、後鬼は黄色い口をしていて、2匹は夫婦だとも、
兄弟だともいっています。

夫婦鬼の説では、酒を飲んで酔っぱらい、目を赤くしてで歌を歌う
夫鬼を、黄色い口を開けた女房鬼が、笑いながらみている姿をあら
わしているのだという。

この鬼たちはもともと、大阪市と奈良県の境にある生駒山という山
にすんでいて、山越えをして通る旅人を襲っていた盗賊だとの説も
あります。

役ノ行者が16歳の時(異説あり)、近くの信貴山で修行をしていま
した。すると、身の丈3mもあるような、牙を生やした2匹の鬼が
邪魔をしだしします。

怒った行者は、空を飛んで鬼を追いかけ、生駒山南東の奈良県側で
捕まえました(いまの生駒市鬼取の里)。そして、南西の大阪側で
髪を切って(いまの東大阪市かみ切りの里)、妖力をなくします。
現在、それぞれの場所に鬼取山鶴林寺、髪切り山慈光寺というお寺
もあります。

こうして折伏(しゃくぶく・悪を打ち砕き迷いを覚まさせること)
された鬼たちは、行者の忠実な従者となったという。のち2鬼は行
者の遺言により、大峰の行場守護のため、吉野と熊野の境に「前鬼
の里」を開き、天狗となって山を護り続けていると伝えます。

その子孫は、江戸時代までに5つの家に分かれ、鬼熊、鬼上、鬼継、
鬼助、鬼童の姓を名のり、まとめて「五鬼」と称していたというこ
とです。いまも前鬼の里には、大峰山で修行をする行者や登山者た
ちのための坊(ぼう・宿泊所)があります。

▼前鬼の里【データ】
地名:ぜんきのさと

★【所在地】
奈良県吉野郡下北山村。近鉄吉野線大和上市駅から特急バス2時間
前鬼口バス停・さらに歩いて3時間で前鬼の里。前鬼小仲坊がある。
地形図に地名と建物記号、大峯奥駆道の文字の記載あり。付近に何
も記載なし。

★【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
・前鬼の里:北緯34度05分48.43秒、東経135度55分29.68秒

★【地図】
・2万5千分の1地形図「釈迦ヶ岳(和歌山)」

★【参考】
・『山岳宗教史研究叢書11・近畿霊山と修験道』五木重編 (名著出
版)1978年(昭和53年)
・『図聚天狗列伝・西日本編』知切光歳著(三樹書房)1977年(昭
和52)
・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)
・『役行者伝記集成』銭谷武平(東方出版)1994年(平成6)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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