とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

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▼736号 「北ア後立山連峰・爺ヶ岳をはさんだ二つの池」

【概略】
後立山連峰爺ヶ岳をはさんだ二つの池。ひとつは爺ヶ岳の北にある
冷池。地元ではハミ池といい、動物たちが草を喰みに来る所。また
爺ヶ岳北方の種池は、爺ヶ岳の雪形種まき爺さんの種を冷やす所だ
という。昔の人の豊かな感性と大きな想像力に脱帽。
・長野県大町市と富山県中立山町との境

▼736号 「北ア後立山連峰・爺ヶ岳をはさんだ二つの池」

【本文】
北アルプス後立山連峰縦走の時、鹿島槍ヶ岳は、これから越えるに
しても越えてきたにしても、その南側にある冷池(つべたいけ)の
テント場か冷池山荘泊まりになります。

山荘近くの冷池はかつては、山荘の大事な水場として使われていた
ところですが、いまはただの水たまりになっています。ここにはク
ロサンショウウオがいるという。

冷池はその名からさぞかし冷たい水が…と思われ勝ちですが、東麓
に突き上げる大冷沢・小冷沢の上部ということで名づけられたもの
という。

しかし地元では猟師などは「ハミの池」と呼んでいたそうです。ハ
ミとは喰(は)むことで、春雪が解けて草の芽が出ると動物たちが
待っていたかのように草を喰みに来る所という意味だとか。冷池は
地元の名ではなく昔の登山者がつけた名前だったのですね。

ところで爺ヶ岳をはさんで西方に種池といういう池がもう一つあ
り、そばに種池山荘があります。種池は文字通り種を冷やす池の意
味なのだそうです。

春、爺ヶ岳に出る雪形・種まき爺さんがカラスにほじくられながら
一生懸命まいている種もみはここで冷やしていることになっている
という。

昔の人の豊かな感性と大きな想像力に脱帽します。ちなみに種池小
屋は1919年(大正8)、当時は自治体・平村が村営として建造した
のがはじまり。

第2次世界大戦後、柏原長寿という人がこれを譲り受けて増改築、
いまに至っているそうです。

▼種池【データ】
・池名:たねいけ

★【所在地】
長野県大町市と富山県中新川郡立山町との境。JR大糸線信濃大町
駅からバス、扇沢下車 歩いて4時間で種池。種池山荘と、キャン
プ場がある。地形図上には山荘名と建物記号のみ記載。付近に何も
記載なし。

★【位置】
・種池:北緯36度35分16.76秒、東経137度44分06.6秒

★【地図】
・旧2万5千分の1地形図「十字峡(高山)」or「黒部湖(高山)」(2図
葉名と重なる)

★【参考】
・「アルパインガイド・27」山と渓谷社
・「アルパインガイド・27」山と渓谷社
・「エリアマップ3鹿島槍黒部」(94年版)昭文社
・『角川日本地名大辞典20・長野県の地名』市川健夫ほか編(角川書
店)1990年(平成2)
・『信州山岳百科1』(信濃毎日新聞社編)1983年(昭和58)
・『日本歴史地名大系20・長野県の地名』(平凡社)1979年(昭和54)
・『山の紋章・雪形』田淵行男著(学習研究社)1981年(昭和56)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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