山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼253号 「西丹沢・丹沢湖畔の川天狗」

【序文】
天狗には、水天狗、海天狗、道天狗などいろいろな種類がいますが、
川天狗も天狗の一種。これは河童に近いとされる珍しい天狗だそう
です。ここ丹沢湖畔にはこの川天狗の石碑があります。丹沢湖が出
来るとき、水没した集落から移されたものだということです。
・神奈川県山北町

▼253号 「西丹沢・丹沢湖畔の川天狗」

【本文】
▼山旅漫歩゚【ひとり画展】253号
「西丹沢・丹沢湖畔の川天狗」
【本文】
高山に切っても切れないものに天狗がいます。天狗は妖怪・怪人
・魔物・鬼ににも例えられ、神通力・飛翔術もそなわっていると
いわれています。その天狗にもいろいろ種類・階級があるという
から愉快です。

神奈川県山北町の三保ダム(昭和53年に完成)の工事で丹沢湖が
できる時、湖の底に水没する各集落から山の神や馬頭観音、庚申
などいろいろな石仏が湖周辺に移転、祭られたという。

神縄トンネルバス停から玄倉へ向かう途中の沢沿いにある川天狗
の石碑もそのひとつ。川天狗に向かって左手に白竜神の碑がなら
び、その間に小さなお地蔵さんが建っています。

川天狗とは、天狗の一種で、河童に近いものだともいわれていま
す。そういえば口がくちばしの形で、河童の口に似ています。河
童はその昔、唐天竺の黄河に大部族をなしていたといい、その一
部族が海を渡り九州に渡ってきたという。族長は九千坊という名
前だったというから、なんだか天狗の名にも似ています。

川に関係のある水天狗が山形県出羽三山にひとつ羽黒山に水天狗
円光坊がいます。円光坊は、羽黒山に登るために船で最上川を行
き来する人たちの安全を守る天狗だといわれています。

かつては近畿地方、陸前や、陸中地方など日本海側から羽黒山を目
指す、信奉たちを運んだ舟便だといいます。水天狗円光坊の神影は、
鼻がとがり髪を伸ばし後ろでしばった総髪姿です。

左手で宝剣の柄をにぎり、右手で頭の上までのびる金剛杖を持ち、
白無垢の行者の姿で輪袈裟を掛けています。水天狗は全国唯一の水
の天狗であり水難守護の河童神ではないかともされています。

ある秋の一日、山と渓谷社から丹沢のイラスト本を出版させて戴
くにあたり、お山口の取材に登山口の取材で丹沢湖畔を歩きまし
た。

その途中にある川天狗、話には聞いていましたが実物を見るのは
はじめてです。興奮して横を見たり裏へ回ったりと調べました。
といっても文字だけの石碑ですが。

ふと見ると同行者の皆さんは、こんなただの石碑どこが面白い?
というようにブラブラしながらつまらなそうな顔をしていました。
スミマセン。

▼【データ】
【所在地】
・神奈川県足柄上郡山北町。小田急新松田駅から西丹沢、中川温泉
行きバス玄倉下車10分で川天狗石碑。そのほかは何もなし。

【位置】
・【水天狗】緯度経度:北緯35度24分46.28秒、東経139度03分48
秒(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)

【地図】
・2万5千分の1地形図「山北(東京)」or「中川(東京)」(2図葉名と重
なる)(国土地理院「地図閲覧サービス」から検索)

【山行】丹沢湖周辺散策
・日帰り:1990年(平成2)10月21日(日・晴れ)

【参考】
・『角川日本地名大辞典14・神奈川県』伊倉退蔵ほか編(角川書店)
1984年(昭和59)
・『図聚天狗列伝・東日本』知切光歳著(三樹書房)1977年(昭和5
2)
・『天狗の研究』知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画展通信】
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