山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅通信【ひとり画展】とよだ 時

▼105号 「南ア南部登山基地・静岡県寸又峡の神社」

【序文】
南ア・光岳から37キロの林道を歩き寸又峡温泉を訪れました。ここ
の外森神社の祭礼はわざわざ太平洋岸まで行って海水を汲んで来る
という。翌朝、バスが静かに出発します。そんな中、夕べ食事に呼
んでくれた家族連れが逃げ出した犬を探す声がいつまでも聞こえて
いました。
・静岡県本川根町

▼105号 「南ア南部登山基地・静岡県寸又峡の神社」

【本文】
東海道五十三次でおなじみ、「越すに越されぬ……」とうたわれた
静岡県大井川。その支流でも最大の寸又川(すまたがわ)は、穿入
蛇行の峡谷です。

さらにその奥深いところに湧く寸又峡温泉は10月ごろの紅葉が美し
く、東海地方有数の名所になっています。ここの鎮守さまは外森神
社といい、バスの終点停留所のすぐわきに鎮座しています。

祭っている神さまは奥さんが3人もいるという大年神(おおとしが
み)と、応神天皇である誉田別尊(ほむたわけのみこと)の神です。

毎年10月15日が例祭日とかで、祭典のお湯立ては海水を使うならわ
しで、そのためにわざわざ太平洋岸まで行って汲んでくるといいま
す。

ある夏、南アルプス南端の光岳(てかりだけ・2591m)を朝2時半
起床、3時にテントをたたみランプを頼りに芝沢橋の林道まで4時
間かかって歩きました。

それからエンエン37キロの林道を歩き、吊り橋を渡って温泉街に入
るころはすっかり夕闇がせまっていました。テントを張っていると、
バンガローに泊まっている家族連れから夕食によばれました。

そばにいる犬は歳をとったせいで放浪癖になってしまっているとい
う。千葉県の松戸市からクルマでやってきたのだという。翌朝、外
森神社はゆかた姿の泊まり客でにぎわっています。

そんななか、逃げ出した放浪癖の犬を探すゆうべの家族連れの声が
聞こえます。バスがやってきて私たち乗客は乗りはじめました。や
がて出発。

まだ見つからないのか犬を呼ぶ声がいつまでも聞こえていました。
あの犬は無事に見つかったでしょうか。

▼【データ】
【所在地】
・静岡県榛原郡川根本町(旧榛原郡本川根町)。大井川鉄道千頭駅
からバス1時間で寸又峡。地形図に寸又峡温泉の文字の記載あり。

【位置】
・寸又峡温泉:・緯度経度:北緯35度10分29.6秒、東経138度07
分5.2秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「寸又峡温泉(静岡)」or「井川(静岡)」

【参考】
・『角川日本地名大辞典22・静岡県』小和田哲男ほか編(角川書店)
1982年(昭和57)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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