とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画っ展】

▼019号「南ア・夜叉神峠の夜叉神の石祠」

【序文】
昔、このあたりに荒ぶる神が棲んでいたという。この神は半神半
鬼で、悪疫、洪水、暴風雨を使う恐ろしい夜叉神。困った里人は
峠に石祠を建て祭り上げて封じ込めてしまいました。以来、たた
りはピタリとやみ、豊作の神、縁結びの神として親しまれるよう
になったという。

▼019号「南ア・夜叉神峠の夜叉神の石祠」

【本文】
南アルプス入口の夜叉神峠は白根三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)
の眺めがすばらしい。昔、桃ノ木鉱泉のそばを流れる水出川(い
まの御勅使川・みだいがわ)の源に荒ぶる神・夜叉神が棲んでい
たといいます。

夜叉は神通力を自由にあやつる半神半鬼で、悪疫、洪水、暴風雨
を使って暴れまわるという恐ろしい神。ほとほと困った里人は水
出川を見おろせる峠に石祠を建て祭り上げて封じ込めました。

以来、夜叉神のたたりはピタリとやみ、豊作の神、縁結びの神と
して親しまれるようになったという。

8月はじめ、夜叉神峠小屋の前はヤナギランがまっ盛り。花の中
で写真を撮りっこしている人もいます。汗をふいてから、早速夜
叉神のホコラを探します。

あった、あった。中には木のお札がまつられ、誰があげたかサイ
銭の前に山の神とならんで建っています。夏の夕日を背中にスケ
ッチしている陰がながくのびていました。

帰り、甲府の駅の売店で夜叉神の民芸品をみつけました。さっそ
く買い求め、居間に飾ってありますが、なにかご利益があるので
しょうか。

▼【データ】
【所在地】
・山梨県南アルプス市芦安(旧山梨県中巨摩郡芦安村)。中央本線
韮崎駅の南西12キロ。JR中央本線甲府駅からバス、夜叉神峠入
口から歩いて1時間15分で夜叉神峠。地形図に峠名のみ記載。標
高なし。

【位置】
・夜叉神峠:北緯35度38分14.8秒、東経138度20分11.6秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「夜叉神峠(甲府)」

【参考】
・「夜叉神峠の由来」夜叉神峠小屋パンフ 所蔵
・「甲斐国志」(松平定能(まさ)編集)1814(文化11年):(「大日
本地誌大系」(雄山閣)1973年(昭和48)第2巻
・「角川日本地名大辞典19・山梨県」磯貝正義ほか編(角川書店)
1984年(昭和59)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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山旅イラスト【ひとり画通信】
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