とよだ 時・山旅漫歩゚民俗画
山の伝承【ひとり画通信】

▼815号 「登山道の楽しみ・ヤマグワの実」

【前文】
山道で野生のクワの実をつまみます。クワとはクワ科クワ属の総称
で、古くからある数種類が栽培品種をつくり出しているという。そ
の品種は100とも200ともいい、その他を入れると1000種は下ら
ないとか。しかしそのほとんどがヤマグワ(山桑)など数種の原種
としてつくり出されたものだという。
・クワ科クワ属の落葉高木

▼815号 「登山道の楽しみ・ヤマグワの実」

【本文】
山里の裏山で、口のまわりを紫色に染めたハイカーに出会います。
クワの実をほおばりながら山から降りてきたのでしょう。どのあた
りにあるのか今から楽しみです。

クワの葉は、ご存知、養蚕農家がカイコに与えるために栽培するも
の。今では、人手も加えられなくなり半野生化したクワも多くあり
ます。

果実は葉のもとの方に隠れるようになっています。さっそく、口に
ほおばります。黒っぽいほど熟していて、甘くおいしい。半野生化
したものは、農薬の心配もなく安心です。

クワは中国北部から朝鮮半島にかけての原産とか。古い時代に日本
に渡来したらしく『古事記』や『日本書紀』にも出ています。クワ
とはカイコが食う葉、つまり「食葉(くわ)」だという説と、カイ
コの葉(香葉)だという意味の「コハ」だという説がありますが、
いずれにしても昔からクワはクワ。

子どもはその実をねらい、大人はそれを食べてつくるカイコの繭を
ねらいます。

クワとはクワ科クワ属の総称で、古くからある数種のクワがそれぞ
れ入り混じって、たくさんの栽培品種を作り出し、その品種は100
とも200ともいい、その他を入れると1000種は下らないというか
ら、もうながなんだかワケがわからなくなります。

しかしそのほとんどがヤマグワ(山桑)、カラグワ(唐桑)、および
ロソウ(魯桑)の3種を原種としてつくり出されているのだそうで
す。

ヤマグワは日本原種で東北地方を中心に各地に分布しているとい
う。雌雄異株ですが同種のものもあるという。6〜7月、赤から紫
黒色に熟して、多汁で甘みがあり食べられるのはご存じのとおりで
す。

クワは、また、山菜でもあり、薬草(木)でもあります。若葉をゆ
でてゴマ和え、辛子和え、揚げ物などに利用します。葉を乾燥して
つくるクワ茶は補血強壮、動脈硬化によく、根の皮からとった桑白
皮(そうはくひ)は漢方で消炎性利尿・緩下剤に、また、肺にうっ
血のあるようなときの咳止めによいと、モノの本に出ています。
・クワ科クワ属の落葉高木

・【参考文献】
「続・植物と神話」近藤米吉編著(雪華社)1976年(昭和51)
「植物と伝説」松田修(明文堂)1935年(昭和10)
「植物の世界・089号」(週刊朝日百科)(朝日新聞社)1995年(平
成7)
「世界の植物」(週刊朝日百科)(朝日新聞社)1977年(昭和52)
「日本大百科全書・23」(小学館)1989年(平成1)
「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

 

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