とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚
【ひとり画通信】

▼790号 「野山の花・ノカンゾウ」

【概略】
バス停から登山口まで里道を歩く。原野の夏草が茂ったなかに目立
つ橙赤色のノカンゾウの花。ノカンゾウは野萱草。上向きのラッパ
のような花は下から順に咲く。昼間だけ咲き夕方にはしぼむ一日花。
湿ったところに多くニッコウキスゲ(ゼンテイカ)に近い仲間。
・ユリ科ワスレグサ属の多年草

▼790号 「野山の花・ノカンゾウ」

【本文】
バス停から登山口まで里道を歩きます。天気のよい日はまるで夏山
に登る時のようです。原野やみぞのわきど夏草が茂ったなかに、ノ
カンゾウが花を咲かせています。橙赤色の花がよく目立っています。

ノカンゾウはユリ科ワスレグサ属の多年草。漢字で野萱草。有名な
ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)に近い仲間だそうです。葉は広線形
で幅2センチくらい、長さ50から70センチ。この葉は煎じて膀胱炎
(ぼうこうえん)に効力があるという。

夏、葉の間から70センチくらいの太くて強い花茎を出し、分岐させ
た先端にそれぞれ上向きにラッパのような花をつけ、下から順に咲
きだします。直径7センチくらいのユリのような花です。

この花がまた一日花なのです。昼間だけ咲き、夕方にはしぼんでし
まうという潔さ。夜更かしなんかはしないのであります。

こんな花を食べるというから人間はスゴイ。まだつぼみのうちにゆ
でて、酢じょうゆやマヨネーズをつけて食べると淡い甘味があり、
また色もよいので昔から親しまれてきたそうです。

春、淡い緑色の若芽を摘んで、ゆでて酢みそあえ、ごまあえ、汁の
実にも利用します。むかしの子供はこのノカンゾウの花や葉を使っ
て人形や指輪・水車・かたつむりなどを作って遊びました。

よく似たヤブカンゾウはノカンゾウより人間の集落近くにありま
す。昼間に咲くノカンゾウ・ニッコウキスゲ、夜に咲くユウスゲ、
夜も昼も咲くエゾキスゲ。みんな仲間です。

ちなみに漢方で馴染みの「カンゾウ」は漢字で甘草。マメ科の植物
で別のものです。
・ユリ科ワスレグサ属の多年草本

・【データ】
【名前】:ノカンゾウ(野萱草)。ワスレグサ(ヤブカンゾウ)に似
ており野に咲いているので。カンゾウの基本形は中国のホンカンゾ
ウで、この花を見て憂いを忘れるという故事があるという。さらに
「忘れる」に「萱」の字を当てることから萱草のと」名づけられた
という。

【花言葉・誕生花】:(ヘメロカリス)7月4日の誕生花。花言葉:
苦しみからの解放。

【食用・効能・薬用】:・春、淡い緑色の若芽を摘んで、ゆでて酢
みそあえ、ごまあえ、汁の実にも利用。花は煮て食用にする。つぼ
みはゆでて酢じょうゆやマヨネーズをつけて食べる。

【薬用】:ぼうこう炎に葉を煎じて用いる。

【草花遊び】:・人形・指輪・水車・かたつむり

【俳句】
かん草の一本ゆゑの丸木橋 久保より江
甘草や昨日の花の枯れ添へる 松本たかし

・【参考】
「植物の世界・10」(朝日新聞社)1996年(平成8)
「世界の植物・9」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
「日本大歳時記・夏」監修・水原秋桜子ほか(講談社)
「日本大百科全書・18」(小学館)1988年(昭和63)
「牧野新日本植物図鑑」牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよた 時】

 

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