とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚
【ひとり画通信】

▼786号 「北ア・三俣蓮華岳は熊の山」

【概略】
飛騨の猟師がクマノイ(熊の肝、胆嚢)のつもりでレンゲ肝(肝臓)
を食べた。それを見た信州の猟師たちが大笑い。レンゲ喰み、レン
ゲ喰みの岳、レンゲ岳といっていたのをガイド上条嘉門次が日本山
岳会の長老に話し三俣蓮華岳になったという(富山県山名録)。
・岐阜県・長野県・富山県境

▼786号 「北ア・三俣蓮華岳は熊の山」

【本文】
北アルプス最奥・黒部川源流にの三俣蓮華岳(みつまたれんげだけ
・2841m)という山があります。ここは岐阜県・長野県・富山県に
またがる旧三つの国の国境の山。小盆地高層湿原の別天地・雲ノ平
も近いということから登山者も大勢訪れます。

この山のことは、1700年(元禄12)の越中側「奥山御境目見通絵図」
なるものにも「飛騨・信州・越中三ヶ国三つからみ」と書かれ、そ
の他の絵図にも「三ヶ国出合」、「三ツカシラ」などと載っていると
いう。

かつてはこの三国境の山を越中側では鷲ノ羽ヶ岳と呼んでおり、文
化年間(1804〜18年)以降になって鷲羽岳と呼んだという。のち山
の東にある山を東鷲羽岳(いまの鷲羽岳)と呼ぶようになります。

東があれば西が必要です。いつかもとの鷲羽岳(いまの三俣蓮華岳)
を西鷲羽岳と呼んだという。

いまのように三俣蓮華岳といいはじめたのは明治時代以降。日本ア
ルプスの初期登山者たちの誤解に基づくとされています。また大正
時代に登った大関久五郎という人によってつけられたともいわれて
います。

ところでなぜ「蓮華」なのか。「蓮華」は長野県側の呼び方だとい
います。ここは複雑な氷触地形をなし独特な山容をしています。そ
れをハスの花を連想させたものという人もいます。

しかしこれとは別のちょっと面白い説があります。このあたりは信
州の猟師や村人たちがよく入っていたという。そんな時、飛騨の猟
師が熊を追いかけてこの山でしとめました。そして熊を解体し、ク
マノイ(熊の肝、胆嚢)を取り出しました。

ところがそれは熊のレンゲ肝(肝臓)で、猟師は知らずに食べてい
ました。それを見た信州の猟師たちは大笑い。レンゲ喰(は)み、
レンゲ喰みの岳、レンゲ岳といっていたという。

この話を聞いた名ガイドで知られる上条嘉門次(かみじょうかもん
じ)が日本山岳会(日本で最初にできた山岳会)に話したため、山
岳会で協議して3国境にあるレンゲの山・三俣蓮華岳と命名したと
いう(富山県山名録)。

そういえば三俣蓮華岳そばにある三俣山荘のご主人伊藤正一先生の
「黒部の山賊」の中にもよく熊の話が出てきます。ごく普通に熊が
いたのでしょうね。レンゲの花などと飾るよりこっちの方が真実味
あるよねえ。

・三俣蓮華岳【データ】
山名:みつまたれんげだけ

・【異名・由来】
異名:鷲ノ羽岳・西鷲羽岳・三国三つからみ・山ヶ国出合・三ツカ
シラ。鷲羽岳(三俣蓮華岳)。

由来:日本山岳会3国境にあるレンゲの山・三俣蓮華岳と命名。三
俣蓮華岳は信州側の呼称。三俣蓮華岳は大正期に登山した大関久五
郎によってつけられたといわれる。一説にレンゲ肝(肝臓)に由来
との説もある。

・【所在地】
長野県大町市と富山県富山市(旧上新川郡大山町)、岐阜県高山市
上宝町(旧吉城郡上宝村)との境。大糸線信濃大町駅の南西27キロ。
JR高山本線高山駅からバス、新穂高温泉終点から歩いて延べ10時
間30分で三俣蓮華岳。三等三角点(2841.2m)がある。地形図に山
名と三角点の標高のみ記載。山頂より東北方1000mに三俣山荘があ
る。

・【名山】
日本山岳会選定「日本三百名山」(第256番選定):日本百名山以外
に200山を加えたもの。

【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
【三等三角点】緯度経度:北緯36度23分23.95秒、東経137度35分
15.85秒

【基準点閲覧】国土地理院「基準点成果等閲覧サービス」から検索
基準点(三角点):(基準点コード:TR35437446701)(点名:三ツ又)
(冠字選点番号:坐 24)(種別等級:三等三角点)(成果状態:
正常)(測地系:世界測地系)(緯度経度:緯度 36°23′23.9635、
経度 137°35′15.8291)(標高:2841.23m)(現況状態:報告なし
00000000)(所在地:記載なし)(点の記図閲覧:×)

・【点の記】
閲覧不可

・【地図】
2万5千分の1地形図「三俣蓮華岳(高山)」。5万分の1地形図「高
山−槍ヶ岳」

・【山行】
第5日目:1997年(平成9)8月14日(木・くもり)三俣蓮華岳探
訪:1997年(平成9)8月10日(日)〜18日(月)「新宿駅・大糸線信
濃大町駅・扇沢・針ノ木峠・針ノ木谷・平ノ渡し・奥黒部ヒュッテ
・赤牛岳・水晶岳・雲ノ平・黒部源流・三俣山荘・三俣蓮華岳・双
六岳・槍ヶ岳・西岳・大天井岳・燕岳・合戦尾根・中房温泉−有明
駅・松本駅・新宿駅」:「北アルプス針ノ木谷・奥黒部ヒュッテ・雲
ノ平・槍ヶ岳・表銀座縦走」単独行

・【参考】
「角川日本地名大辞典16・富山県」坂井誠一ほか編(角川書店)19
79年(昭和54)
「角川日本地名大辞典20・長野県」市川健夫ほか編(角川書店)19
90年(平成2)
「黒部の山賊・北アルプスの怪」伊藤正一(実業之日本社)1995年
(平成7)
「富山県山名録」橋本廣ほか(桂書房)2001年(平成13)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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