とよた 時・山のゆ-もぁ-と(イラスト)
山旅漫歩゚
【ひとり画通信】

▼755号 「富士山・煙とかぐや姫と鶯の卵」

【概略】
かぐや姫はウグイスの卵から生まれたという説があります。時の帝
は姫を呼び寄せ3年を過ごした。「私は天女です」といい、形見の
鏡を残し姫は姿を消した。帝の恋焦がれる想いは炎となって鏡に移
った。富士山頂でも鏡はなお燃えやまなまなかった。その時から富
士の煙は絶えないのだという。

▼755号 「富士山・煙とかぐや姫と鶯の卵」

【本文】
富士山にはなぜいつも雲がかかっているのか。またなぜ恋愛の歌に
歌われるのか。実はかぐや姫の物語に関係があるという。

「古今和歌集」の序文(「古今和歌集序聞書三流抄」)に、「日本紀
云、天武天皇ノ御時、駿河国ニ作竹翁ト云者アリ。竹ヲソダテヽ売
人也。有時、竹ノ中ニ行テ見レバ、鶯ノカイコアマタ有。其中ニ金
色ノ子アリ。不思議ニ思テ、取テ帰テ家ニ置。行キテ七日ヲヘテ家
ニカヘルニ、家光リテ見ユ。行テ見レバ美女アリ。彼女光ヲ放ツ。
「何人ゾ」ト問ニ、答云、「吾ハ鶯ノカイコ也」ト云。翁、吾娘ト
ス。赫奕姫ト名ク」とあります。

早い話が「竹作りの翁という者がある時、竹やぶに行くと鶯の卵が
沢山あった。その中に金色に光る卵がひとつ。翁は不思議に思って
家に持って帰った。

竹売りに出かけて帰ると、家の中が光り輝いている。中に入ると美
しい女性がいた。その女が光っていたのである。「お前は誰か」と
問うと「私は鶯の卵です」という。そこで翁は彼女を養女にし、か
ぐや姫と名づけた。(かぐや姫がウグイスの卵から生まれたという
のです)。

これが評判になり帝の耳に届いた。帝は女性を呼び寄せた。非常に
美しいのでたちまち夢中になり、妃のようにこの姫を愛した。3年
が過ぎてから、姫は「私は天女です」といい、鏡を形見に残して消
えてしまった。

帝はこの鏡を抱いて眠り、恋焦がれる想いは炎となって鏡から沸き
返って立ち昇り、消えることがなかった。公卿たちは鏡を土の箱に
入れ、姫の故郷である駿河の国へ送り返した。

しかし鏡はなお燃えやまないので、人々は恐れて富士の頂に置いた。
その時から富士の煙は絶えない。富士の煙を恋の歌に詠み込むのは、
こうした理由であるというのです。

似た話は「海道記」「三国伝記」などにも出てきます。なるほどそ
れで富士山の雲はなかなかとれないんだ。

・富士山頂【データ】
【山名・異名】
富士山(ふじさん・ふじやま)、不尽、不二、布士、富慈、芙蓉峰
(ふようほう)、富岳などの呼び方がある。

・【所在地】富士山頂
山梨県富士吉田市、山梨県南都留郡鳴沢村と静岡県富士宮市、富士
市、御殿場市・静岡県駿東郡小山町との境だが八合目付近から上部
は富士山本宮浅間大社の「私有地」になっており、境界がはっきり
していない。富士急行河口湖駅からバス、河口湖口五合目から5時
間30分で富士山頂。山頂剣ヶ峰に電子基準点(3777.39m)と二等
三角点(3775.63m)、白山岳に二等三角点(3756.36m)がある。火
口内に写真測量による標高点(3535m・標石はない)がある。

・【ご利益】
・【浅間神社奥宮】:【浅間神社】安産・火災除け:【富士山本宮浅間
大社】五穀豊穣、湧水守護の神

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第72番選定):日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる。
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(第69 番選定)
・山梨県選定「山梨百名山」(第100番選定)

・【位置】(国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索)
山頂剣ヶ峰に電子基準点と三角点、白山岳に三角点、火口内に標高
点がある。

【剣ヶ峰の電子基準点】(※標高3774.9m)緯度経度:北緯35度21
分38.75秒、東経138度43分38.3秒

【剣ヶ峰電子基準点のすぐ南の三角点】(標高3775.6m)緯度経度
:北緯35度21分38.26秒、東経138度43分38.52秒

【白山岳の三角点】(標高3756.4m)緯度経度:北緯35度22分0.02
秒、東経138度43分46.43秒

【火口内の標高点】(標高3535m)緯度経度:北緯35度21分46.53秒、
東経138度43分53.27秒

・【地図】
2万5千分の1地形図「富士山(甲府)」。5万分の1地形図「甲府
−富士山」

・【山行】
第2日目:1996年(平成8)7月31日(水・快晴)富士山頂探訪:19
96年(平成8)7月30日(火・快晴)〜31日(水・快晴)「高尾駅・大月
駅・富士吉田駅・中ノ茶屋・五合目佐藤小屋・八合目太子館泊・富
士山頂お鉢めぐり・新五合目バス停・河口湖駅・大月駅・高尾駅」
:「富士山山行」「子供の科学」取材

・【参考】
「海道記」:新日本古典文学大系51「中世日記紀行集」福田秀一他
校注(岩波書店)1990年(平成2)所収)
「古今和歌集序聞書三流抄(ききがきさんりゅうしょう)」:(「中世
古今集註釈解題(二)」片桐洋一(赤尾照文堂)1973年(昭和48)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
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