とよだ 時 「山の伝承伝説」民俗画
山旅イラスト通信【ひとり画展】

▼750号 「奈良・大峰山の鬼たち」

【概略】
役ノ行者には必ず鬼が2匹ついています。前鬼後鬼といい夫婦鬼と
も伝えています。夫鬼が酒を飲み赤い目をして歌うのを、女房鬼が
黄色い口を開けて笑っている姿をあらわしているのだといいます。
奈良県吉野から熊野本宮までの大峰山ではふつうに見られます。

▼750号 「奈良・大峰山の鬼たち」

【本文】
役ノ行者といえば修験道の祖。各地の山々や神社などに像が見られ
ます。それには必ずといっていいほど2匹の鬼(前鬼・後鬼)がつ
いています。

前鬼は赤目で斧を持ち、後鬼は黄色い口をしていて、兄弟だとも夫
婦だともいう。酒を飲み赤い目をして歌う夫鬼を、黄色い口を開け
て笑う女房鬼をあらわしているのだという。

この鬼たちはもともと、大阪市と奈良県の境にある生駒山にすみ、
通る旅人を襲っていた盗賊だとの説もあります。

役ノ行者が16歳の時(異説あり)、近くの信貴山で修行中、身の丈
3m、牙を生やした2匹の鬼が邪魔をします。

行者は空を飛んで鬼を追いかけ、生駒山南東の奈良県側で捕まえ(い
まの生駒市鬼取の里)、南西の大阪側で髪を切って(いまの東大阪
市かみ切りの里)、妖力をなくします。現在、それぞれの場所に鬼
取山鶴林寺、髪切り山慈光寺というお寺もあります。

こうして折伏された鬼たちは、行者の忠実な従者となったという。
のち2鬼は行者の遺言により、大峰の行場守護のため、吉野と熊野
の境に「前鬼の里」を開き天狗となって山を護り続けていると伝え
ます。

その子孫は、江戸時代までに5つの家に分かれ、鬼熊、鬼上、鬼継、
鬼助、鬼童の姓を名のり、まとめて「五鬼」と称していたというこ
とです。

・前鬼の里【データ】
地名:ぜんきのさと

・【所在地】
奈良県吉野郡下北山村。近鉄吉野線大和上市駅から特急バス2時間
前鬼口バス停・さらに歩いて3時間で前鬼の里。前鬼小仲坊がある。
地形図に地名と建物記号、大峯奥駆道の文字の記載あり。付近に何
も記載なし。

・【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
【前鬼の里】緯度経度:北緯34度05分48.43秒、東経135度55分29.6
8秒

・【地図】
2万5千分の1地形図「釈迦ヶ岳(和歌山)」

・【山行】
第4日目:1993年(平成5)9月12日(日・晴れ)大峰山前鬼の里探
訪:1993年(平成5)9月9日(木)〜17日(金)「東京駅・新大阪駅・
紀伊田辺駅・闘鶏神社・南部駅・熊野本宮・前鬼の里・弥山・行者
還岳・山上ヶ岳・五番関・青根ヶ峰・吉野・京都駅・東京駅」:「和
歌山県南部川村大峰山縦走」単独行

・【参考】
「山岳宗教史研究叢書11・近畿霊山と修験道」五木重編 (名著出
版)1978年(昭和53年)
「図聚天狗列伝・西日本編」知切光歳著(三樹書房)1977年(昭
和52)
・「天狗の研究」知切光歳(大陸書房)1975年(昭和50)
・「役行者伝記集成」銭谷武平(東方出版)1994年(平成6)

山岳漫画・ゆ-もぁイラスト・画文ライター
【とよだ 時】ゆ-もぁ-と事務所

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