山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

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▼746号 「山で出会う花・ヤマツバキ」

【概略】
ハイキングでツバキの花が目につきます。ヤブツバキはヤマツバキ。
他のツバキ類の総元締め。その昔、800歳まで生きたという八百比
丘尼がツバキの枝を持って全国行脚。各地に広めたため、秋田県男
鹿市能登山や青森県平内町椿山野生地があるのだという。
・ツバキ科ツバキ属の常緑高木

▼746号 「山で出会う花・ヤマツバキ」

【本文】
ハイキングの道すがらツバキの花が目につきます。普通ツバキとい
うと、日本のツバキの総称ですが、野生のこの種は、ヤブツバキと
かヤマツバキといい、ほかのものと区別しています。

海岸近くの山に多く生え、高さ10mにもなる常緑高木です。葉が厚
く、その表面に艶があるところから「厚葉木」とか「艶葉木」がな
まってツバキの名前になったといいます。

木へんに春と書いて椿です。春に花をよくみかける木だとして日本
の人が作った国字。

ツバキは、大昔から親しまれた木で「日本書紀」景行天皇12年条に
は九州豊後の国で、つばき(海石榴)を椎(つち)という武器に作
り、土蜘蛛を退治した記述があります。

また「出雲風土記」(733年)には、ツバキが税金の対象になってい
たらしく、産物の名にツバキが出てきます。ツバキはまた、神聖な
木だと考えられ、神社などの森に茂っています。分布も全国的で、
暖かい所から、東北の雪国にも生えています。

これは昔、八百歳まで生きたといわれる、若狭(福井県)の八百比
丘尼が、ツバキの枝を持って全国各地をまわり、それを植えてつく
かどうかで、そこに神意のあるなしを占ったためだという話もあり
ます。

ツバキの名所には伊豆大島や高知県足摺岬、石川県珠洲市の千本椿
などがあり、国の天然記念物にツバキ自生北限地帯(青森県平内町
の椿山・秋田県男鹿市の能登山などがあります。
・ツバキ科ツバキ属の常緑高木。

▼【データ】
★【参考】
・「世界の植物・6」(朝日新聞社)1977年(昭和52)
・『植物と伝説』(松田修) (明文堂)1935年(昭和10)

 

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山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

 

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