山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

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▼718号 「東京奥多摩雲取山・うわさの天狗祠」

【概略】
村人は雲取山天狗と山頂の石権現を関連づけて話すという。その石
祠を探しはじめたのはいつのころだったでしょうか。あれからン十
年、何回登っても見つかりません。とうとう幻の祠になりました。
それともこれは石尾根七ツ石の七ツ石権現のことでしょうか。
・東京都奥多摩町と埼玉県秩父市、山梨県丹波山村との境

▼718号 「東京奥多摩雲取山・うわさの天狗祠」

【本文】
天狗研究のバイブル「図聚天狗列伝」(知切光歳著・岩政企画)の
東日本編に、「雲取山に祭られている石権現は(ママ)小祠は、武
蔵地方に多い石神を奉斎したものではないかと思うが、天狗に縁由
をもつらしく、東京側のふもとの山村、丹波、日原、奥多摩、小河
内、檜原などの辺陬から、青梅、五日市などの田園部の住民は、雲
取山の天狗のことをよく口にし、石権現に因縁づけている」とあり
ます。

雲取山は秩父三峰山の奥の院の奥の院。三ツ峰・白岩山・雲取山の
三ツ峰三山は行者たちの回峰した山々。

雲取山は昔は御休山で、当時は庶民の入山は御法度でしたが、回峰
行者は特別に許されていたという。ここから縦走路を奥秩父の金峰
山まで回峰する行者もいたらしい。

そんな山なら天狗の一人や二人いないわけありません。これは捨て
てはおけないと祠を探しに行ったのはいつのころだったでしょう
か。

あれからン十年、何回登っても見つかりません。地元に問い合わせ
ても分からずじまい。それとも石尾根七ツ石の七ツ石権現のことで
しょうか。しかし七ツ石権現は石祠ではありません。それとも??
……。

▼雲取山【データ】
★【異名・由来】
・雲取山(このあたりで最も高い山なので雲に隠れやすいため。サル
オガセなどのついた幽幻な森林があるからなどの説。)・雲取ヶ岳・
雲採山。大雲取山(おおくもとりやま・熊野の大雲取山からとった
名前)

★【所在地】
・東京都西多摩郡奥多摩町と埼玉県秩父市、山梨県北都留郡丹波山村
との境。青梅線奥多摩駅の北西15キロ。秩父鉄道三峰駅からバスで
三峰山頂、さらに歩いて5時間30分で雲取山。一等三角点(2017m)
と原三角測点と、避難小屋、トイレがある。地形図上には山名と三
角点と三角点の標高のみ記載あり。三角点より南方向直線約10mに
避難小屋、三角点より北方向直線約600mに雲取山荘、三角点より
南方向直線約1600mに奥多摩小屋がある。

★【名山】
・「日本百名山」(深田久弥選定):第66番選定(日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる)
・「新日本百名山」(岩崎元郎選定):第33番選定
・「山梨百名山」(山梨県選定):第14番選定
・「花の百名山」(田中澄江選定・1981年):第41番選定
・「新・花の百名山」(田中澄江選定・1995年):・第43番選定

★【位置】
・一等三角点:北緯35度51分19.86秒、東経138度56分37.94秒

★【地図】
・2万5千分の1地形図「雲取山(甲府)」。5万分の1地形図「甲府
−三峰」

★【参考】
・『図聚 天狗列伝・東日本編』知切光歳著(三樹書房)1977年(昭
和52)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

 

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