山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

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▼712号 「北ア立山・雄山のお花畑は蛇たちの巣?」

【序文】140字
立山雄山山頂付近で咲き誇る高山植物。ここはもと悪さをする大
蛇たちがすむ池だったという。立山権現は大蛇たちに草花の種を
まかせ芽が出るまでもぐるようにいい、毎日大雪を降らせて雪の
下に永久に封じ込めてしまいました。やがて雪が溶けまいた花が
咲き、いまはお花畑になったということです。
・富山県立山町

▼712号 「北ア立山・雄山のお花畑は蛇たちの巣?」

【本文】
「越中立山、加賀には白山、駿河の富士山日本一だよ…」。何かの
コマーシャルにあるとおり、立山は富士山、白山とともに日本三霊
山(三名山)に数えられ、越中では男子16歳になると立山に登らな
いと男として一人前になれないといわれたという。

主峰雄山は立山山岳信仰の中心地で、山頂には雄山神社があります。
この雄山の山頂付近に咲き乱れる高山植物のお花畑があり、登山者
の目を楽しませてくれます。

ここにはもと千蛇ヶ池という池があり、恐ろしい大蛇がたくさんす
んでいたという。大蛇は夜になると人里に降りてきては人を殺した
り、家畜を盗んだりのし放題。

見かねた立山権現は大蛇たちを神殿に集め「いまのようなことをし
ていると、この世には人間がいなくなってしまう。お前たちだって
食べるものがなくなって困るだろう。

ここにある草花の種をやるから池のほとりにまいて、芽が出るまで
池に潜って待っておれ。そのうちに人間も増えるだろう」と諭しま
した。なるほどいわれてみればもっともな話です。

大蛇たちは種をまいて池に潜りました。立山権現はそれを見すます
と、池の上に毎日毎日大雪を降らせ大蛇たちを雪の下に永久に封じ
込めてしまいました。

雪は大雪渓になり、やがて溶けはじめると大蛇たちがまいた高山植
物の花が咲きはじめ、いまのお花畑になったということです。その
後大蛇たちはどうなったのかは知りません。

▼立山雄山【データ】
【山名・異名・由来】
・雄山(おやま)・神の山の御山が雄山に結びついた。

【所在地】
・富山県中新川郡立山町。富山地方鉄道立山駅の東22キロ。富山地
方鉄道立山駅からケーブル、美女平からバス、室堂から2時間30分
で雄山。一等三角点(標高2991.6m)と写真測量による標高点(30
03m)と雄山神社がある。地形図に雄山の山名と雄山神社に標高点
の標高と南方85mに三角点の記号とその標高の記載あり。

【ご利益】
・【雄山神社奥宮】:家業繁栄・縁結び・厄除開運

【名山】
・深田久弥選定「日本百名山」(第49 番選定):日本二百名山、日
本三百名山にも含まれる。
・岩崎元郎選定「新日本百名山」(第43 番選定)
・田中澄江選定(1981年)「花の百名山」(第55 番選定)

【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
・雄山標高点:北緯36度34分23.49秒、東経137度37分04.38秒
・雄山一等三角点:北緯36度34分21.23秒、東経137度37分2.85秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「立山(高山)」or「黒部湖(高山) 」(2図
葉名と重なる)。5万分の1地形図「高山−立山」

【参考】
・『山の伝説・日本アルプス編」青木純二(丁未出版)1930年(昭
和5)
・『日本山岳ルーツ大辞典』村石利夫(竹書房)1997年(平成9)
・『続・植物と神話』近藤米吉編著(雪華社)1976年(昭和51)
・『山の伝説』青木純二著(丁未出版社)から
・『日本山名事典』徳久球雄ほか(三省堂)2004年(平成4)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

 

 

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