山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼697号 「山の植物・秋空に映えるナナカマドの実」

【概略】
秋山を見事な色で彩るナナカマドの材は堅く、7つの竈で燃しても、
7回竈にくべてもまだまだ燃えないのでナナカマドというのだと
か。雷もあきれて寄りつかず、雷よけになるといいうからすごい木
です。東京の植木屋さんはライデンボクというそうです。
・バラ科ナナマカド属の深山に生える落葉高木

▼697号 「山の植物・秋空に映えるナナカマドの実」

【本文】
「雲脱がぬ穂高へ紅しななかまど」藤原零子。秋の山を彩るナナカ
マドは、葉の美しさもさることながら、真っ赤な実は、葉が落ちた
あともあくまで高く青い秋空に映えています。

ナナカマドは七竈と書き、その名は、木が堅く「かまどの中に7回
に入れて燃やしても燃えない」くらいだとか、あるいは「7つのか
まどに入れても燃えない」ようだ、というところからきているのだ
そうです。

ナナカマドの堅い木材は、ろくろの材料や彫刻の用材としてもって
こい。また、この木を植えると、「雷よけ」になるという言い伝え
もあり、東京の植木屋さんでは雷電木(らいでんぼく)の異名で通
用しているそうです。

高山でよく目にするのはタカネナナカマド、ウラジロナナカマドで
す。

ある年の秋、北アルプスの剱岳の仙人池から剱沢二股へ下山。途中、
ナナカマドが色づいていました。

とくに真っ赤に輝く実の向こうに裏剱の岩峰が荒々しくそびえ、あ
れが小窓であれが三ノ窓雪渓。天気はあくまでもよく、下山するの
が惜しいくらいでした。
・バラ科ナナマカド属の深山に生える落葉高木

▼【データ】
【参考文献】
・『植物と神話』近藤米吉編著(雪華社)1973年(昭和48)
・「植物の世界・5」(朝日新聞社)1996年(平成8)
・「世界の植物・5」(朝日新聞社)1975年(昭和50)
・『牧野新日本植物図鑑』牧野富太郎(北隆館)1974年(昭和49)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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