山の歴史と伝承に遊ぶ 【ひとり画ってん】

山旅イラスト通信【ひとり画展】とよだ 時

▼691号 「北ア雲ノ平・高天原の鉱脈採掘ばなし」

【概略】
北アルプス最奥の温泉高天原。かつて水晶岳斜面の金鉱掘削の鉱山
事務所があったという。持ち主は、星勇九郎というお方。水晶岳と
三ツ岳にトンネルを掘り、長野県大町市まで金鉱運搬の鉄道を引く
計画だったという。結局金鉱は出ずじまいだったという。
・富山県大山町

▼691号 「北ア雲ノ平・高天原の鉱脈採掘ばなし」

【本文】
北アルプス最奥の高原地「雲ノ平」(富山県)からさらに3時間の
山奥に高天原という所があります。温泉が流れる沢すじに露天風呂
があり、訪れる人の疲れをいやしてくれます。

このあたり、東側の水晶岳斜面に金鉱が出るという話があります。
かつては「大銅鉱山事務所」の建物があり、坑道もいくつかあった
といいます。

持ち主は、星勇九郎というお方。以前は仙台で官吏をしていました
が、ある夜「神のお告げ」があって、金の鉱脈があるこの場所を掘
り出します。

「埋蔵量は無尽蔵。水晶岳と三ツ岳にトンネルを掘り、長野県大町
市まで金鉱運搬の鉄道を引く」と息まきます。

この話にのった資本家がスポンサーになり、大勢の人夫を雇い掘削
をはじめましたが、結局金鉱は出ずじまい。何人もの資本家が食い
物にされたという。戦後間もない1949年(昭和24)ごろのおはなし
です。

8月、ひとり露天風呂につかります。沢すじを通る風が心地よい。
悠久とした時の流れ、意識が現実から離れます。「埋蔵金の夢を追
うのも悪くないかな……??」

▼高天原温泉【データ】
【山名・異名・由来】
・高天原(たかまがはら)・岩苔平(いわごけだいら)

【所在地】
・富山県富山市(旧上新川郡大山町)。富山地方鉄道立山線立山駅
の南東20キロ。富山地方鉄道有峰口駅からバス折立終点下車、歩い
て15時間で高天原温泉。湯屋がある。地形図に温泉記号と建物記号
のみ記載。温泉記号より北方約390mに竜昌池があり、南方605mに
高天原山荘がある。標高2100〜2200mとされる。

【位置】国土地理院「電子国土ポータルWebシステム」から検索
・【高天原】緯度経度:北緯36度26分42.76秒、東経137度35分5.5秒

【地図】
・2万5千分の1地形図「薬師岳(高山)」

【参考】
・「黒部の山賊・北アルプスの怪」伊藤正一(実業之日本社)1995
年(平成7)

山と田園の画文ライター
イラストレーター・漫画家
【とよだ 時】

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